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ID番号 04925
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 京都府立聾学校事件
争点
事案概要  公立A学校の教員人事につき、講師から助教諭にせず、助手として採用した後に助教諭としたのは聴覚障害者であることを理由とする差別であり地公法一三条の平等原則に反するとして損害賠償請求がなされた事例。
参照法条 地方公務員法13条
教育公務員特例法13条
国家賠償法1条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 雇い入れと均等待遇
裁判年月日 1990年7月18日
裁判所名 京都地
裁判形式 判決
事件番号 昭和60年 (ワ) 1982 
裁判結果 一部認容・棄却
出典 タイムズ746号137頁/労働判例567号22頁
審級関係
評釈論文 小林武・法学セミナー36巻1号121頁1991年1月/船木正文・教育判例百選<第3版>〔別冊ジュリスト118〕174~175頁1992年7月/村松いづみ・労働法律旬報1248号16~24頁1990年9月25日
判決理由 〔労基法の基本原則-均等待遇-雇い入れと均等待遇〕
 4 以上を総合すると、七年間助手という不合理な身分に据え置いたことにより教諭採用時期が昭和三七年四月一日まで遅れた点でも、教諭採用時期の点で、社会通念上承服しがたい著しい裁量権の踰越、濫用があるといわねばならないが、そもそも、同三〇年五月一日に原告を教諭または助教諭に採用せず、助手に採用したこと自体が、特に聴覚障害者の差別と強く結びつき、地方公務員法一三条に違反する点で、著しい裁量権の踰越、濫用になり、原告に対する違法行為による権利侵害があったというべきである。
 〔中略〕
〔労基法の基本原則-均等待遇-雇い入れと均等待遇〕
 従って、右被告の行為は原告に対する不法行為に該当する。そして、右不法行為は被告の府知事及び任命権者らがその公権力を行使するに当たり故意に原告に対し、教諭としての採用差別という不利益取扱を行った結果、原告に対し損害を与えたものであるから、被告は国家賠償法一条により原告に対し損害を賠償する責任がある。