ID番号 | : | 04937 |
事件名 | : | 賃金保障金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 大阪地区生コンクリート協同組合事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 生コン業者団体と労働組合の間における雇用保障に関する確認書につき、労働協約とはいえず、第三者のためにする契約であるとし、確認書違反につき賃金相当額の請求が認容された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法537条 労働組合法14条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 成立 |
裁判年月日 | : | 1989年10月30日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和59年 (ワ) 6896 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働民例集40巻4・5号585頁/タイムズ730号119頁/労働判例552号69頁/労経速報1389号3頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-成立〕 2 本件各確認書の法的性格について検討する。原告らは労働協約であると主張する。労働協約の当事者となりうるのは、労働組合と使用者又はその団体であるところ、前述のように原告らはA社に雇用されていた者であり、被告は原告らの使用者には該当しない。労働協約の当事者となる使用者の団体とは、構成員たる使用者のために労働組合と統一的な団体交渉を行って労働協約を締結することが、規約や慣行により予定されている団体をいうが、被告がそのような団体であることを認めるに足りる証拠はないし、使用者の団体が当事者となり、労働条件や労働者の待遇について定めた労働協約は、各使用者とその雇用する労働者を規律するところ、本件各確認書は被告の構成員たる加盟各社とその雇用する労働者間を規律するものではなく、原告らと被告間に直接的な権利義務関係を発生させるものであることからしても、労働協約と認めることはできない。原告らは右各確認書は生コン支部が原告らの代理人として締結したものであるとも主張するが、前記認定のとおり、生コン支部は原告らの代理人としてではなく、当事者本人として締結したものであり、その中には、生コン支部自体に関する事項も含まれているから、右原告らの主張を認めることはできない。そうすると、本件各確認書中原告らに関する部分は、生コン支部を要約者、被告を諾約者、原告らを受益者とする第三者のためにする契約であると解するのが相当であり、原告X本人尋問の結果によると、原告らは昭和五七年一二月中には被告に対し契約の利益を享受する意思を表示したものと認められる。 〔中略〕 2 右認定のとおり、B産業は原告らを採用するか否かは全く自由であるとの見地から採用試験を行い、原告らに対し部落解放運動についてCの支持する立場に立った認識と理解を要求し、原告らは同和問題を正しく認識、理解しようとする姿勢に欠けるとして、同人らを不採用としたものであって、B産業は前述のとおり、原告らが承諾さえすればA社と大差のない労働条件で原告らを雇用する企業ではないから、被告が本件就職斡旋債務を履行したとはいえないし、原告らがB産業に就職する意思がないために、同社との間の雇用契約が成立しなかったものでもない。したがって、被告は本件就職斡旋債務を履行するまで原告らに対し、賃金相当額を支給する義務を有する。 |