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ID番号 04938
事件名 懲戒処分取消請求事件
いわゆる事件名 神奈川食糧事務所事件
争点
事案概要  人事院勧告完全実施を要求するための争議行為を理由とする組合役員に対する停職処分が適法とされた事例。
参照法条 国家公務員法98条2項
労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1989年10月31日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和59年 (行ウ) 90 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 行裁例集40巻10号1600頁/時報1331号23頁/タイムズ714号56頁/訟務月報36巻8号1406頁/労働判例550号10頁
審級関係
評釈論文 照井光孝・地方公務員月報320号32~41頁1990年3月/森英樹・法学セミナー35巻5号124頁1990年5月/清水敏・季刊労働法154号94~99頁1990年1月/中山和久・労働法律旬報1231・1232号28~29頁1990年1月25日/道幸哲也・法学セミナー36巻2号131頁1991年2月
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 しかしながら、本件各ストライキは、前記認定のとおり違法な争議行為であること、しかも、農林水産省職員の九割を超えるおよそ三万八〇〇〇人の国家公務員たる職員が合計三時間もの間集団的に職場を離脱して職務を放棄したもので、その規模及び態様とも決して軽微なものではないこと、農林水産省の行政事務の正常な運営に支障を与え、国民の利益を損なう虞があったこと、また、農林水産省当局の本件各ストライキは違法なものであるとの警告を無視して二度に亘り敢行されたものであること、原告らは全農林の幹部組合員であって、本件各ストライキの計画時から参画し、全国各地においてオルグ活動を行って本件各ストライキの実施に積極的に関与し、指導的役割を果たしていること、さらに、原告らは全員処分歴を有するものであり、また、農林水産省における最近の争議行為に関する処分と比較してみても、本件各懲戒処分は必ずしも重いとはいえないこと等、本件各ストライキに至る動機、経緯、ストライキの程度、態様、ストライキにおける原告らの役割等諸般の事情を総合すると、本件各懲戒処分は重い嫌いがないわけではないが、なお未だ社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱したものとまでいうことはできない。
 したがって、本件各懲戒処分が懲戒権の濫用であるとする原告らの主張は理由がなく採用することができない。