ID番号 | : | 04940 |
事件名 | : | 地位保全等申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 西武バス事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 制服着用時に酒気を帯び、同僚が運転するバスを二分間待たせ、酒気を帯びたままで営業所に宿泊したバス運転手に対する解雇が有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法1条3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度 解雇(民事) / 解雇事由 / 業務妨害 |
裁判年月日 | : | 1989年10月31日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成1年 (ヨ) 2261 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労経速報1375号31頁/労働判例550号26頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕 〔解雇-解雇事由-業務妨害〕 前記一応の認定のとおり、債権者は、債務者の従業員でありながら制服着用時酒気を帯び、待っていた客を乗車させて約一〇分遅れて出発し始めた最終バスを、担当運転手が難色を示すにもかかわらず二分間待つように要求し、通常よりもゆっくり進行させた右バスに便乗し、債務者の従業員が酒気を帯びて自己の都合で最終バスの運行を遅らせたとして乗客から苦情を申し入れられたものであり、本件行為は、輸送の安全及び旅客の利便を図ることを目的とするよう義務付けられ、サービス向上に努めていた債務者として見過すことのできない非違行為であって、本件行為の態様、状況並びに債権者は過去にも担当した運行を欠行する等の不祥事を重ねて処分を受けていたとの事情を総合すれば、懲戒解雇に相当するとの決定のうえ、これに基づきなされた本件通常解雇は、客観的合理性を欠くものではなく、社会通念上相当として是認することができないものではない。 なお、債務者の就業規則五四条七項には、懲戒処分を受けたものが六カ月以内に更に悪質な懲戒に該当する行為をしたときは重く懲戒することができると規定されているところ、債権者は、債務者が前記過去の処分歴を問題にすることは一事不再理の原則に反すると主張するが、債務者は、本件行為に対する相当な処分決定のための情状として前記債権者の処分歴を考慮しているものであって、前記処分の対象となった行為を重ねて本件処分の対象としているものとは認められない。 したがって、本件解雇が権利の濫用であり、無効であるとの債権者の主張は理由がない。 |