ID番号 | : | 04974 |
事件名 | : | 慰藉料等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 国鉄踏切事故事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 国鉄の踏切での自動車と電車の衝突事故により負傷した自動車運転手の遺族が国鉄を相手どって損害賠償を請求した事例。 |
参照法条 | : | 民法709条 労働者災害補償保険法12条1項(旧) 労働基準法79条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 慰謝料 |
裁判年月日 | : | 1955年11月9日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和29年 (ネ) 2308 |
裁判結果 | : | 一部認容・棄却 |
出典 | : | 下級民集6巻11号2350頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-慰謝料〕 控訴人は七十余歳の老令にして前記Aのほか男子なく、Aの妻、その子三人と妻の七人家族にして、Aが自動車運転手をして一ケ月約一万八千円の収入があり、冬期はAと共にのりの採取をなし約二十万の収入があつて、これらを以て生計を賄つて来たところ、A死亡後は老令のため控訴人のみにてはのりの採取も困難となり更にAの妻は子供一人を連れてその実家に復籍し、控訴人において他の二児を世話するに至つたことが認められ、更に前認定の事実に照せば、前記Aにおいて電車の進行に注意すれば前記事故を未然に防止することが出来たものと認められるので(当審並に原審における控訴人の本人尋問の結果中にはこれと異る供述があるが、前記証拠と対照するときはたやすく措信し難い)、これらの事情を参酌するときは、控訴人の精神的損害を償うべき慰藉料は金十五万円を相当と考えられるのである。被控訴人は前記Aの妻が労働者災害補償保険法に基ずいて給付を受けたことを以て右慰藉料より控除すべきものと主張するが同法にいう遺族補償費は死亡者の損害を補償するものと解せられるので、この者の父母配偶者子に対する損害賠償責任については採用することが出来ない。 |