ID番号 | : | 04982 |
事件名 | : | 労災補償決定取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 大阪労災保険審査会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 業務で自転車により出張した者が用務先で丸太を自己の個人的用途にあてるためもらい受け自転車に積んで自宅へ帰る途中この丸太のため自転車の安定を害し、後方から来た自動車と接触して死亡した事故につき業務上か否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法79条 労働者災害補償保険法12条1項 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 通勤途上その他の事由 |
裁判年月日 | : | 1957年7月19日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和28年 (行) 48 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 時報131号34頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-通勤途上その他の事由〕 右事故はAが前叙の通り業務として前記B方へ自転車で出張し用務を終えた上再び自転車で職場へ引返す途上発生したものであり、従つてその限りにおいて同人はなお業務に従事中であつたものと言うことが出来るが、Aが携行していた前記桧丸太は同人が自己の個人的用途に充てる為め出張先で貰い受け職場へ復帰の機会を利用して自宅へ持帰るべく自転車に積載せられたものであつて、右桧丸太の携行自体はAの前記業務の遂行と何等の関係もなく、また業務に従事中に通常携帯を認容せられるべき私用物の範囲内に属するものと言うを得ないのみならず、前認定の如き方法でこれを積載した自転車に乗車するが如きはそのために車輌の安定を阻害せられ操向の自由を著しく妨げられること疑いの余地なく、同人の本来の義務遂行の状態に含まれる危険性が一般に道路または交通機関の利用に伴う通常の交通危険の程度を出でないことと対比するときは、畢竟Aは業務に従事中右業務と関係なき行為により任意に該職務の危険性と別個の交通危険と危険な状態を作出し、その結果前叙の如く接合の際の避譲の措置を誤り前記貨物自動車運転者の過失と相俟つて本件災害を惹起せしめたものであるから、右災害は事故発生当時のAの業務に因り通常発生すべき範囲内のものと解するを得ず、右業務とは因果関係がないと認めるのが相当である。従つて、被告がAの死亡を業務外のものと認定し、原告の審査の請求を認めない旨の決定をしたのは正当であつて、原告の請求は理由がない。 |