ID番号 | : | 04998 |
事件名 | : | 労災保険不給付処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 姫路労基署長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | コンクリートの型枠組み立て作業に従事中に足を踏み外して転落して右胸を強打しその打撲を治療していたところ治ゆしたとされたが、右胸の疼痛が持続しているため右疼痛につき再発として保険給付の請求が求められた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法12条1項(旧) 労働基準法75条 労働基準法76条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 休業補償(給付) |
裁判年月日 | : | 1961年9月22日 |
裁判所名 | : | 神戸地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和35年 (行) 14 |
裁判結果 | : | 一部棄却・却下 |
出典 | : | 訟務月報7巻12号2385頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-休業補償(給付)〕 そこで以上の診断を綜合してみると、 (イ) A医院、B株式会社C病院のレントゲン写真に肋骨腐蝕の他覚的所見は認められない。 (ロ) A医院では病的所見を認めず、B株式会社C病院では胆のう症と診断され、したがつて、被告の右胸部の疼痛は、胆のう症による右上腹部の疼痛と考えられ、外傷とは何ら因果関係が認められない。 (ハ) 仮に、胸部肋間神経痛の症状があるとしても、負傷時の胸部打撲は、D医師の加療によつて全治しており、他覚的所見も認められないのに、その後五年以上の間前記打撲による傷病が原因で痛みが持続したとは考えられない。 従つて、原告の主張する現在の症状は、仮にそのような症状があるとしてもそれは昭和二七年の外傷とは何ら因果関係がなく、再発とは認定しがたいのである。 ところで、労働者災害補償保険法にいわゆる負傷又は疾病の「再発」と認められるためには、業務上の負傷または疾病について、一たび症状が固定し、治癒と認められたにかかわらず、再び同一の症状が再現または悪化して、療養を必要とする程度となることが必要であると解されるのであるが、本件においては、前項にのべたとおり、被告主張の症状は仮にそれが存在するとしても当初の業務上の負傷と何等因果関係を有しないもので、再発と認められないものであるから、労働者災害補償保険法による保険給付の対象とはならないものといわなければならない。 |