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ID番号 05002
事件名 損害賠償・慰藉料請求事件
いわゆる事件名 山崎鉱業所事件
争点
事案概要  石炭を搬出するために炭車に乗って作業中に右車が脱線しその際の負傷がもとになり死亡した労働者の遺族が使用者を相手どって損害賠償の請求をしたケースで遺族に支給されていた保険給付と損害賠償との調整が争われた事例。
参照法条 労働者災害補償保険法12条1項
労働基準法84条2項
民法717条
体系項目 労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 労災保険と損害賠償
労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 慰謝料
裁判年月日 1962年4月26日
裁判所名 最高
裁判形式 判決
事件番号 昭和35年 (オ) 381 
裁判結果 棄却
出典 民集16巻4号975頁/裁判集民60号419頁
審級関係 控訴審/福岡高/昭34.12.18/不明
評釈論文 窪田隼人・民商法雑誌47巻6号971頁/古賀哲夫・同志社法学82号55頁/蕪山厳・法曹時報14巻6号112頁
判決理由 〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-労災保険と損害賠償〕
〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-慰謝料〕
 原判決の引用する第一審判決によれば、本件事故による被害者Aの死亡に因り物質的の損害賠償としてその妻たる被上告人Y1は金二一万三七一四円の、被上告人Y2、同Y3、同Y4はAの子として各金一四万二四七六円の各請求権を取得したものとされ、その外に慰藉料として被上告人Y1は金一〇万円、被上告人Y5は金三万円、被上告人Y2、同Y3、同Y4は各金五万円の請求権を取得したものとされたこと、一方被上告人Y2はAの本件事故に因る死亡を理由として労働者災害補償保険法に基づき遺族補償費として金三六万八八四〇円、葬祭料として金二万二一三〇円の各交付を受けたことは所論のとおりである。そして、右のような場合労働基準法八四条二項及び労働者災害補償保険法一二条一項四号、一五条、労働基準法施行細則四二条の法意に基づき被上告人Y1の受けたる右遺族補償費三六万八八四〇円はY1の取得するものとされた前示物質的の損害賠償請求権二一万三七一四円にのみ充てらるべき筋合のものであつて、同人の前示慰藉料請求権にも、亦その他の被上告人の損害賠償(有形無形とも)請求権にも及ばないものであり、前示葬祭料に至つては勿論その対象とならないものと解するを相当とする。