ID番号 | : | 05003 |
事件名 | : | 損害賠償代位請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 土建業松本組事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 自動車事故により被災した被害者に対して労災保険の給付を行なった国が右事故の加害者たる自動車の保有者に対して求償権を行使した事例。 |
参照法条 | : | 自動車損害賠償保障法3条 労働者災害補償保険法20条(旧) |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 国の求償権、示談との関係 |
裁判年月日 | : | 1962年5月7日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和35年 (ネ) 1403 |
裁判結果 | : | 棄却(上告) |
出典 | : | 高裁民集15巻5号354頁/時報303号31頁 |
審級関係 | : | 一審/神戸地尼崎支/ . ./不明 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-国の求償権、示談との関係〕 責任主体たる自動車保有者に帰責される責任行為は、保有者がその自動車の取扱者として予定した運転者や助手等の行為の範囲に限定することは、無関係な第三者による盗用の場合等の責任を免除することになつて、結果的にも妥当と考えられるが、反面に、保有者の予定した者、例えば運転者、助手による運行である以上、その具体的運行の目的、動機が保有者のためであると否とを問わず。従つて同人等による無断使用の場合をも除外しない結果になるが、かかる者のかかる使用は、保有者の一応予期することができ、注意と監督によつて制限、防止することは当然可能であるから、客観的責任の範囲として右のような使用行為の責任をも包含せしめることは、社会通念上も妥当であり、危険責任の見地からも当然に是認せらるべきであると考える。 以上縷述した自賠法第三条の解釈より、本件の場合におけるAの行為による責任の有無について見るに、Aが控訴人の自動車助手であることは当事者間に争がないから、同人が運行した控訴人保有の自動車によつて本件事故が発生した以上、控訴人は右法条但書の免責要件を主張、立証しない限り、控訴人は右事故により生じた前記争なき損害について賠償責任があるものといわねばならない。そうすると、そのうち被控訴人が保険給付として被害者Bに支払つた前認定の金六六一、六七三円についても、その最終支払日の翌日たる昭和三四年八月二二日以降の年五分の損害金と共に、これが求償権を取得した被控訴人に償還しなければならないことは、労働者災害補償保険法第二〇条に定めるところであるから、右の支払を求める被控訴人の請求は正当で原判決は相当である。 |