ID番号 | : | 05007 |
事件名 | : | 行政処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 神戸東労基署長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 作業中に板片が落下して眼にあたりそれにより視力障害が生じたとして障害補償の請求がなされた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法12条1項(旧) 労働基準法77条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 災害性の疾病 |
裁判年月日 | : | 1963年7月5日 |
裁判所名 | : | 神戸地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和36年 (行) 1 |
裁判結果 | : | 認容(控訴) |
出典 | : | 訟務月報9巻7号856頁 |
審級関係 | : | 控訴審/05404/大阪高/昭39.11.30/昭和38年(ネ)1125号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-災害性の疾病〕 数名の専門医による数度にわたる自覚的視力検査の結果とくに右眼は〇、三ないし〇、五の間を動かなかつたこと、受傷部位に至近で従つて罹患の多かつた右眼が左眼に比べて相当程度視力が劣ること、原告も終始これを訴えてきたこと、そうして前記の他覚的視力測定値と自覚的視力測定値とが異つておるのは右眼らせん状視野など神経症的素質を示す所見がみられた事実などと併せて、ヒステリー症、神経衰弱、詐病などに起因する場合も考えられはするが決定的なものでないこと、むしろ、原告は適応度の狭い性格構造の持主であることは窺えるが、当時頃神経病学的異常は存在しなかつたこと、その後の同病院の検査では前記らせん状視野が認められないこともあつたこと、同年四月一一日同病院でトラウマテイシエノイローゼ(いわゆる外傷性神経症)と診断を受けたこともあつたこと、一方びまん性表層角膜炎、閃輝性暗点、鞏膜炎は視力障害の原因ともなること、以上の各事実を認めうる。而してこれと前段認定の如き傷病の経過、及び原告の健康状態とを綜合すると、むしろ鞏膜炎、閃輝性暗点、びまん性表層角膜炎が原告の視力に復合的に影響しこれが成因となつて原告には前記負傷前にはみられなかつた右眼の視力障害が発生し、右疾患のなおつた後にも該障害が残つていると推認するのが相当である。成立に争いのない乙第五号証及び証人Aの証言のうち右認定に牴触する部分は採用するに由ない。 そうすると、原告の視力障害は業務上生じた負傷ないし疾病に基き、これがなおつた後にも存すると解するのが正当であるからこれと異る認定に出た被告の原告に対する障害補償費を支給しない旨の決定は失当として取消を免れない。 |