ID番号 | : | 05014 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 江州運輸事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 第三者災害に関連して国が加害者に対して求償権を行使したケースで、自動車事故による負傷者の損害が示談契約の当時予想に反して後日異常に増大した場合における権利放棄条項の意義が争われた事例。 |
参照法条 | : | 民法127条2項 労働者災害補償保険法20条1項 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 国の求償権、示談との関係 |
裁判年月日 | : | 1964年12月21日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和38年 (ネ) 1590 |
裁判結果 | : | 棄却・上告 |
出典 | : | 高裁民集17巻8号635頁/時報400号16頁/タイムズ173号141頁/訟務月報11巻4号560頁 |
審級関係 | : | 上告審/05122/二小/昭43. 3.15/昭和40年(オ)347号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-国の求償権、示談との関係〕 当裁判所は被控訴人の本訴請求を理由のあるものと認めるものであって、その理由は、控訴人主張の示談契約の成否、その内容及び効力の点を左記の通り補充、訂正するほか、原判決理由記載と同一であるから、右理由をここに引用する。 〔中略〕〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-国の求償権、示談との関係〕 本件において、さきの示談契約は、その成立後において、その対象とされた損害が、当事者の示談当時の算定に反して、前段で認定されたような大巾の増加を示すことがほぼ明瞭になると同時に、右示談契約中の権利放棄の約定は解除条件の成就により当然失効したものと認められ、その時期は、前掲甲第七号証と証人A(原審)、同Bの証言を綜合すると、被害者Cは昭和三二年七月二一日一旦退院後、さらに治療を要する状況になつて同年八月二〇日再入院し、 その後再手術を受け昭和三三年六月二三日まで入院加療したが、なおその後機能障害を残すことになつたものであるが、右再入院に先立つ昭和三二年八月中旬頃控訴人に対して再々損害の填補を要請し、その使用主の代表者たるAにおいても労災保険金請求の已むなき事情を控訴人に通知し、これに対し控訴人より前段認定の回答を為していることが認められるので、遅くとも右回答のなされた昭和三二年八月中旬頃までに、Cの負傷の予期以上の重大性、損害の予想外の増加がほぼ明白になつていたものと解せられ、この時期を以て本件示談契約中の権利放棄条項は失効したものと認むべきである。 そうすれば右示談契約の存在を前提とする控訴人の抗弁は、その余の点につき判断を加えるまでもなく失当として排斥を免れない。 |