ID番号 | : | 05026 |
事件名 | : | 仮処分抗告申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 読売新聞社事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 解雇された労働者が地位保全の仮処分を却下されたのに対して、右部分の取消と就労の妨害禁止の仮処分抗告を申立てた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 就労請求権・就労妨害禁止 |
裁判年月日 | : | 1958年8月2日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和31年 (ラ) 897 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集9巻5号831頁/タイムズ83号74頁 |
審級関係 | : | 一審/04537/東京地/昭31. 9.14/昭和30年(ヨ)4777号 |
評釈論文 | : | 宮島尚史・ジュリスト181号59頁/法学研究〔慶応大学〕32巻10号85頁 |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約上の権利義務-就労請求権・就労妨害禁止〕 労働契約においては、労働者は使用者の指揮命令に従つて一定の労務を提供する義務を負担し、使用者はこれに対して一定の賃金を支払う義務を負担するのが、その最も基本的な法律関係であるから、労働者の就労請求権について労働契約等に特別の定めがある場合又は業務の性質上労働者が労務の提供について特別の合理的な利益を有する場合を除いて、一般的には労働者は就労請求権を有するものでないと解するのを相当とする。本件においては、抗告人に就労請求権があるものと認めなければならないような特段の事情はこれを肯認するに足るなんの主張も疎明もない。のみならず、裁判所が労働者の就労に対する使用者側の妨害を禁止する仮処分命令を発しうるためには、その被保全権利の存在のほかに、かかる仮処分の必要性が肯定されなければならないわけであるが、本件仮処分においては、冒頭認定のとおり、相手方のなした抗告人に対する解雇の意思表示の効力の停止と賃金の支払を求める限度において抗告人の申請は認容されたものであるから、抗告人は特段の事情のない限り、それ以上進んで就労の妨害禁止まで求め労働者としての全面的な仮の地位までも保全する必要はないものといわなければならない。 |