ID番号 | : | 05031 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | メトロ交通事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | タクシー運転手がメーターを不正操作して二六〇円を領得したことを理由としてなされた懲戒解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為 |
裁判年月日 | : | 1958年9月25日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和31年 (ヨ) 4076 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労働民例集9巻5号627頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 日労研資料431号14頁 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務上の不正行為〕 六 次に同申請人は「同申請人のメーター不倒の内一回は処分ずみであり、他の二回は未確認であるのに特に不利な誓約をさせ、他の者よりさして、成績が悪いということもないのに誓約書をたてにとつて解雇をしたのは解雇権の乱用である。」と主張する。 しかし、後の二回のメーター不倒行為は、前認定のとおり、同申請人も誓約書において自認しているのであるから、かかる行為があつたと見るのが当然である。 そして、(イ)同申請人の二通の誓約書によれば、かかる行為は「不祥事」であり、懲戒解雇事由である前掲就業規則第七八条第八号に該当することを当然としていること、(ロ)会社は当時運賃の値引を認めていたことを合わせ考えれば、右二回のメーター不倒行為は、前掲就業規則の条項にいう「業務上不当に自己の利益を図り、若しくは図つたとき」に該当すると認むべきものであつて、しかも右二回の行為は最初A係長から注意されてから一〇日後とその一週間後の行為であるから、会社が同申請人に退職を勧告したり、前記誓約書を入れさせて解雇を留保したことが特に不利益な取扱とは認められない。 そして前認定のとおり、同申請人のその後の勤務成績はメーター不倒行為に対する処分を留保しなければならない程良好であつたとは認められないのであるから、同申請人に対する解雇が社会的に不相当な解雇とは認められず、従つて、同申請人主張のように解雇権の濫用とは認められない。 |