ID番号 | : | 05033 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 大東京タクシー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | タクシー会社に入社するに当たり、以前他のタクシー会社に短期間勤務したことおよび二〇年以上も前に暴力行為等処罰に関する法律違反で懲役二年、執行猶予三年の有罪判決を受けたことを秘匿していたことを経歴詐称であるとして解雇された運転手が、本当は組合結成を理由とする解雇であり不当労働行為であるとしてその効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 経歴詐称 |
裁判年月日 | : | 1958年10月31日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和33年 (ヨ) 4008 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働民例集9巻5号661頁/時報168号24頁/タイムズ85号66頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 花見忠・ジュリスト171号65頁/別册労法旬329号2頁/法学セミナー35号70頁/名城法学8巻4号33頁/労働経済旬報395号15頁 |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-経歴詐称〕 被申請人は、申請人を解雇した理由は、申請人が入社に際して提出した履歴書にA株式会社に勤務した経歴及び昭和一一年一二月五日に暴力行為等処罰に関する法律違反で有罪判決をうけたことを記載しなかつたこと並びに申請人には業務に支障を及ぼす喘息の持病があるからであつて組合を結成したこととは何らの関係もないと主張するけれども、自動車運転手が以前他のタクシー会社に短期間勤務した経歴を隠して履歴書に記載しないことは、その勤務中に業務上別段の不都合の所為のない限り労働力の評価に関する重要な経歴を詐つたものというに足りないし、申請人本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、右有罪判決は懲役二月執行猶予三年であつて既に猶予期間を経過したものであることが認められ、かつ二〇年以上も昔のことであるから、このことを隠してもその故に不信議的性格を徴表したものということも納得できないし又喘息の点は前記のとおり業務に差支えのない程度のものであるから、会社の主張する解雇理由は申請人が企業から排除されても止むを得ないと考えられる程の合理性あるものということはできない。 |