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ID番号 05066
事件名 休業補償給付不支給決定取消請求控訴事件
いわゆる事件名 福井労基署長事件
争点
事案概要  従業員が会社(使用者)の実施した忘年会に出席し、その終了後に同会場付近で交通事故にあって負傷したケースで、業務上の負傷に当るか否かが争われた事例。
参照法条 労働基準法76条
労働者災害補償保険法14条1項
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 会社行事(宴会、運動会、棟上げ式等)
裁判年月日 1983年9月21日
裁判所名 名古屋高金沢支
裁判形式 判決
事件番号 昭和57年 (行コ) 3 
裁判結果 棄却(上告)
出典 労働民例集34巻5・6合併号809頁/訟務月報30巻3号552頁
審級関係 上告審/最高/   .  ./昭和58年(行ツ)128号
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-会社行事(宴会、運動会、棟上げ式等)〕
 2 控訴人は、事業主が労務管理上、懇親会等の対内的社外行事を行うことが必要であると判断し、管理職が労働者に参加を要請し、通常勤務日に参加者を出勤扱いとして行う社外行事に、労働者が、事実上であつても、事業主の意向にそい、これに参加せざるをえなかつた場合には、当該労働者が世話役、あるいは幹事役でなくとも、事実上従属的労働関係のもとにあつたのであるから、労働者の社外行事参加について業務遂行性を認めるべきであり、したがつて控訴人の本件会合への参加には業務遂行性があると主張する。
 しかしながら、労働者が事業主(使用者)主催の懇親会等の社外行事に参加することは、通常労働契約の内容となつていないから、右社外行事を行うことが事業運営上緊要なものと客観的に認められ、かつ労働者に対しこれへの参加が強制されているときに限り、労働者の右社外行事への参加が業務行為になると解するのが相当である。前記認定事実(原判決引用)によれば、本件会合は、A株式会社が経費の全額を負担しているが、従業員の慰安と親睦を目的とするものであつて社会一般に通常行われている忘年会と変りはないから、本件忘年会を行うことが右会社の事業運営上緊要なものとは認められず、また右会社役員が従業員に対し、特に都合が悪い場合は格別、できるだけ参加するようにと勧め、参加者を当日出勤扱いにする旨伝えたことは認められるものの控訴人に対し本件忘年会に参加することを強制した事実は認められない。したがつて控訴人が本件忘年会に参加したことを業務行為と解することはできず、右忘年会参加について業務遂行性を認めることはできない。