ID番号 | : | 05075 |
事件名 | : | 遺族補償給付等不支給処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 滝川労基署長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 打切補償後に長期傷病補償を受けていた者が死亡した後に、その遺族が遺族補償等の支給の請求をしたところ不支給の処分を受けたため右処分の取消を求めた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法12条の8第3項 労働者災害補償保険法昭和40年改正附則15条2項 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 傷病補償年金等 |
裁判年月日 | : | 1984年3月16日 |
裁判所名 | : | 札幌地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和52年 (行ウ) 29 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | タイムズ557号142頁 |
審級関係 | : | 控訴審/05080/札幌高/昭59.12.25/昭和59年(行コ)5号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-傷病補償年金等〕 ところで、本件規定は打切補償を一旦受給した者で引き続き療養を要すると認定された者(旧受給者)に対する長期傷病者補償の内容及び支給額を定めたものである。 このような場合、旧受給者に対する補償の内容及び支給額をいかに定めるかは、さきに説示したとおり、国の財政事情に対する配慮と、高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を要するもので、立法府の裁量の範囲に属すると解される。しかるところ、本件規定は、さきに認定したとおり、一旦打切補償を受けている旧受給者と、これから支給を受け始めることになる新受給者との間の補償額が公平になるようにするため、旧受給者の支給額を減縮したものであり、その減額の手段として旧受給者に対しては遺族補償、葬祭料の給付はしない旨定めたのはすでに支給した打切補償中に遺族補償及び葬祭料が含まれていると考えられたからであつて、国会における審議経過からみて、右立法には合理性に欠けるところはなく、明らかな裁量の逸脱、濫用は認められない。 本件規定が給付金の年額からの減縮額を画一的に定めかつ年金の受給年数にかかわらず遺族補償及び葬祭料を一切支給しない旨定めたため、個々の旧受給者への支給総額が同一条件下の新受給者への支給額とつねに一致するとは限らず旧受給者への支給総額が新受給者への支給総額より低額になる場合があることは否定できないが、先に述べたとおり、本件規定は、平均的には旧受給者に対して打切補償分だけ減額するよう定められた(現実の立法では旧受給者への減額はより少なくされていた)のであるから、右の事情があつたとしてもただちに合理性を欠き裁量を逸脱、濫用した立法であるとは言えない。 |