全 情 報

ID番号 05078
事件名 休業障害(補償)給付不支給処分取消請求事件
いわゆる事件名 王子労基署長(凸版城北印刷)事件
争点
事案概要  印刷会社において業務上負傷した労働者が、そこから支払われた賃金に基づいて平均賃金を算定されたのに対して、当時製本会社とも雇用関係がありそこで支払われた賃金をも含めて平均賃金を算定すべきであるとして争った事例。
参照法条 労働者災害補償保険法8条
労働基準法12条
体系項目 労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 給付基礎日額、平均賃金
裁判年月日 1984年9月27日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和58年 (行ウ) 102 
昭和59年 (行ウ) 52 
裁判結果 棄却
出典 労働判例442号39頁/訟務月報31巻4号875頁
審級関係 上告審/05094/最高三小/昭61.12.16/昭和61年(行ツ)72号
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-給付基礎日額、平均賃金〕
 二 労災法による災害補償保険制度は、業務災害に関しては、使用者が無過失で負うべき災害補償責任(労働基準法八章)を保険する趣旨のものと解すべきであるから、その保険給付に当たっては、労災法八条一項の給付基礎日額は、災害補償責任を負うべき使用者が被災労働者に対して支払った賃金を基礎として算定した平均賃金によることとなる。
 原告が指摘する通勤途上の災害については、従来の業務災害補償制度の下では、一般にこれを業務災害に当たるとして補償の対象とすることには問題があり、被災労働者の救済に不十分であったことから、法改正により、それとは別途の制度として、通勤災害としてとらえて保護(補償ではない。)を行うこととしたものであり、また、第三者行為災害の場合も、それが業務災害(又は通勤災害)に該当する限りにおいて保険給付が行われることに変わりはない。したがって、原告指摘の点によっても、前記の業務災害に関する災害補償保険制度の趣旨に変更があったものと解することはできない。
 本件では、原告はAにおいて就労中に業務上負傷したのであるから、災害補償責任を負うべきは同社であり、B製本はこれとは関係しない。そうすると、原告に対する休業補償給付及び障害補償給付は、Aから支払われた賃金を基礎として平均賃金を算定し、これを給付基礎日額として支給すべきところ、被告労基署長は既にその支給決定をしているのであるから、本件給付請求は理由がなく、これに対して不支給と決定した本件処分は適法である。