ID番号 | : | 05113 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 西原・国求償事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 第三者災害に関連して国が加害者に対して求償権を行使したケースで、被災労働者の後遺障害による逸失利益の算定に労災保険法の障害等級表を基準とすることの可否が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法20条1項 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 国の求償権、示談との関係 |
裁判年月日 | : | 1965年10月22日 |
裁判所名 | : | 長野地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和38年 (ワ) 83 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | タイムズ185号168頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-国の求償権、示談との関係〕 〈証拠〉によれば、請求原因五、(労災保険給付)のとおり、原告国が右Aに対し合計六二五、七五一円を給付したことが明らかである。したがつて、原告は労働者災害補償保険法第二〇条第一項により右給付額を限度として、右Aが被告らに対して有する損害賠償請求権を取得したものというべく、被告らは原告に対し、各自Aに対する損害賠償義務の範囲内でその支払をなすべき義務があるものといわなければならない。 〔中略〕 以上の事実によれば、右Aは、運転免許を有していたとはいえ、その免許は乗用車は勿論、小型トラツクも運転できないものであつて、従来の経歴と合せ考えても同人を運転手専業の労働者として取り扱うことはできない。そして、右受傷後の健康状態から考えれば、今後同人は重労働には耐えられないが、軽作業に従事することは充分可能であり、努力と訓練次第ではかなりの労働に耐えうるものとみとめられる。そうであるなら右受傷による同人の労働力の喪失率は六割とみるのが相当である。原告はこの点について、労働者災害補償保険法施行規則別表第一および労働省労働基準局長通牒(昭和三二、七、二、基発第五五一号)を基準とし、その喪失率を九二パーセントと主張するが、右は国が労働者災害補償保険法第二〇条第一項の規定に基き第三者に求償すべき場合の損害額の計算について定められた行政上の基準であつて、前記の事実を考慮するとき、これをもつて直ちに右Aの得べかりし利益の算定の基準とすることはできない。また、以上の事実からみると、同人の労働可能年数は同人が六五才に達するまでの向う三七年間とみるのが相当であるから、同人の将来得べかりし利益の喪失額は四、八六一、八〇〇円(600円×0.6×365日×37年)であり、これを直ちに請求するものとして、ホフマン式計算方法により、これより年五分の中間利息を差引くならば、その総額は一、七〇五、八九五円(円以下四捨五入)となることが計数上明らかである。 (3) 以上、Aが右傷害によつて蒙つた物質的損害は合計一、七九四、二八六円であるところ、前記三、説示の如く、本件接触事故については同人にも重大な過失があり、〔中略〕そうであるなら、前記損害額のうち、被告らにおいて賠償すべき額は、その一割二分(0.4×0.3=0.12)に相当する二一五、〇〇〇円(百円以下四捨五入)をもつて相当と認める。 |