ID番号 | : | 05117 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 第三者災害求償事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 国の第三者に対する求償に関連して、国は葬祭料の支給を理由として受給者が有する逸失利益に対する損害賠償請求権を取得することができるか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法20条1項 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 国の求償権、示談との関係 |
裁判年月日 | : | 1966年7月16日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和39年 (ワ) 3704 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | タイムズ195号149頁/訟務月報12巻11号1491頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-国の求償権、示談との関係〕 (イ) 原告がAに給付した遺族補償費については、その額がAの相続した前記得べかりし利益の喪失による損害額より一六三、七五七円少ないので問題はないが、葬祭料については、その額が同女の支出した前記葬祭関係費の額を五、六二九円こえている。このように現実に生じた葬祭関係費をこえる葬祭料を給付した場合に、原告において葬祭関係費とは別個の右得べかりし利益の喪失による損害の賠償請求権を右超過額の限度で取得すると解すべきか問題である。おもうに、労働者災害補償保険法二〇条一項は、同条二項と相まつて、被災労働者またはその遺族もしくは葬祭を行なう者に二重に損害の填補を得させることの不合理をなくすために設けられた規定であるから、そのような不合理を生じない場合には適用がないと解すべきである。ところで、葬祭料は葬祭を行なう者につき直接生じた(もしくは生ずべき)損害を填補するに過ぎないものであつて、被災労働者の労働能力の喪失に対する填補としての性質を有しないから、受給権者が現実に生じた葬祭関係費をこえる葬祭料の給付を受けながら、第三者に対して有する右労働能力の喪失に対する填補としての性質を持つ得べかりし利益の喪失による損害賠償請求権を右超過給付額と無関係に行使しても、二重に損害の填補を得ることにはならないと解するのが相当である。とすれば、原告は葬祭料の超過給付をなしても、前記二〇条一項により、Aの有する得べかりし利益の喪失による損害賠償請求権をその超過額の限度で取得することはできないといわなければならない。 |