ID番号 | : | 05121 |
事件名 | : | 障害補償費不支給処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 高松労基署長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | パーキンソニスムスの基礎疾病を有する者が醤油タンクの水洗作業中の転落事故により頭を受傷しその後二年くらい経過してパーキンソニスムの症状が顕著に増大し一〇年後に同病名で死亡したことが業務上に当るか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法12条1項(旧) 労働基準法79条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性 |
裁判年月日 | : | 1967年5月30日 |
裁判所名 | : | 高松地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和38年 (行) 3 |
裁判結果 | : | 認容(控訴) |
出典 | : | 労働民例集18巻3号627頁/訟務月報13巻6号734頁 |
審級関係 | : | 控訴審/05123/高松高/昭43. 7.20/昭和42年(行コ)2号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕 ところで労働者災害補償保険法第一条第一二条、第一五条の規定により障害補償給付を受けうる業務上の事由による労働者の負傷又は疾病等(業務上の傷病等という)とは、業務との間に相当因果関係をもつて発生したものでなければならないが、ここにいう業務上の傷病等の認定には既往に当該疾病等につき全く白紙の状態でなければならないかというに必ずしもさように厳密に解すべきではなく、既往の素因、若しくは基礎疾病又は既存疾病が条件又は原因となつて作用したため発病したと認められても、同時に業務的要因がこれらと共働原因となり当該傷病等が発生し又は既存疾病が急激に増悪したことが、証明されうる場合には当該業務的要因と傷病等との間には相当因果関係が認められ、当該傷病等は業務上のものと認定しうるものと解するを相当とする。 本件についてこれをみるに、本件受傷が被災者の業務に際し生じたものであることは当事者間に争いがない以上、前認定の事情により被災者が半身不髄となつた本件疾病は業務上のものと認定するのが相当であるから、被災者の本件受傷と本件疾病との間には因果関係の存在が認められないとの理由をもつて、被災者に対し本件障害補償費を支給しないこととした被告の本件処分は違法であつて取消を免れない。 |