ID番号 | : | 05140 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 丸登運送事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労働災害の被災者の遺族が、加害者たる会社を相手に損害賠償を請求したケースで、将来引き続き支給されるはずである遺族補償年金が右損害賠償額から控除されうるか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 自動車損害賠償保障法3条 労働者災害補償保険法16条 労働基準法84条2項 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 労災保険と損害賠償 |
裁判年月日 | : | 1972年5月31日 |
裁判所名 | : | 名古屋地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和44年 (ワ) 321 |
裁判結果 | : | 一部認容・棄却(確定) |
出典 | : | 時報691号52頁/タイムズ285号295頁/交通民集5巻3号774頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-労災保険と損害賠償〕 原告Xが本件事故について労働者災害補償保険から遺族補償年金の支給を受けていること、右遺族補償年金の年額が昭和四三年八月から昭和四五年一〇月まで金五二万三〇四五円、同年一一月から昭和四六年三月まで金六二万七六五四円、同年四月以降は金八二万二二二六円であることは原告らと被告Y会社の間に争いがなく、そして、このように不法行為によって死亡した者の遺族が労働者災害補償保険法にもとづく遺族補償年金を受給する場合には、公平の理念に照らして、その受給する年金は、これを当該遺族が相続した死亡者の逸失利益による損害賠償請求権の額から控除するのを相当とするべく、しかして、亡Aの本件死亡の翌月昭和四三年八月から本件口頭弁論終結時の昭和四七年一月までの期間の分として原告Xがすでに受給したか、または受給すべき遺族補償年金の額を、右期間中屡次にわたり改定された前記年金の年額を基礎として計算すると、金二一二万三五六二円(528,045円×12/37+627,654円×12/5+822,226円×12/10=2,123,562円08銭。円位未満の端数切捨。)となるが、右金額のみをもってしても、原告Xの前記相続額のうち、亡Aの慰藉料以外の逸失利益の損害賠償請求権の相続額金一五三万一六六六円六六銭(9,190,000円×1/6=1,531,666円)全額を填補するに十分であるから、原告Xが本件口頭弁論終結後の将来にわたって受領すべき年金額の現在価を算出してみるまでもなく、同原告の右逸失利益による損害賠償請求権は存在しないことになり、したがってこれを同人の前記損害総額金二一六万五〇〇〇円から控除すると、右控除後の損害額は金六三万三三三三円(円位未満の端数切捨)となる。 |