ID番号 | : | 05152 |
事件名 | : | 行政処分取消請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 呉労基署長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 農協の貯金係の女子職員が職場で片思いの顧客から刺殺された事故につき業務上に当るか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法1条 労働基準法79条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 暴行・傷害・殺害 |
裁判年月日 | : | 1974年3月27日 |
裁判所名 | : | 広島高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和46年 (行コ) 13 |
裁判結果 | : | 棄却(確定) |
出典 | : | 訟務月報20巻7号95頁 |
審級関係 | : | 一審/05139/広島地/昭46.12.21/昭和43年(行ウ)35号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-暴行・傷害・殺害〕 労働災害における業務上の事由の存否は、労災法律関係発生の要件であり、業務上か業務外かの認定については、いわゆる業務起因性の存否が重要な意味を有する。この業務起因性を認定するには、その業務に従事しなかつたならば、災害をうけなかつたであろうという条件的因果関係を有するのみでは足らず、原因と結果たる業務と災害、傷病等との間に経験則上ないしは社会通念上予想される相当な因果関係がなければならない。そして右相当因果関係の有無を判断するには、災害発生の発生原因をなしたすべての事情を斟酌して決すべきものである。 ところで控訴人の当審において主張する事実関係がすべて認められるとしてもいまだ亡Aの職務である貯金ならびに物品販売業務と本件災害との間に条件的因果関係があつたことを認めうるにとどまり、相当因果関係があることまで認めることはできない。要するに、本件災害のすべての事情を斟酌すると、先に認定したとおり、災害発生の原因がBの私的なうらみ等によるものであり、亡AのBに対する接客態度から発生したものではなく、かつ亡Aの右業務内容から本件災害の如き稀有な事故発生を通常予想できないし、業務内容に当然内在する危険があるとは到底いい難いからである。従つて、右業務と本件災害との間に業務起因性はないものといわねばならない。 |