ID番号 | : | 05164 |
事件名 | : | 遺族補償給付等不支給処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 榛麓会ゴルフコンペ事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 取引会社およびその協力会社の経営幹部により構成される団体のゴルフコンペに事業主の命により出席する途中の交通事故死が業務上か否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法1条 労働基準法79条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 会社行事(宴会、運動会、棟上げ式等) |
裁判年月日 | : | 1975年6月24日 |
裁判所名 | : | 前橋地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和49年 (行ウ) 1 |
裁判結果 | : | 棄却(確定) |
出典 | : | 訟務月報21巻8号1712頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 保原喜志夫・労働判例230号20頁 |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-会社行事(宴会、運動会、棟上げ式等)〕 A会の例会を開催することにより、人事異動の報告や、営業方針、生産方針の変化等について出席した会員の間で互に情報を交換する機会をもつこととなり、ひいては、それによつて取引の円滑をはかることができる利点のあることは否定できないけれども、右利点は、例会開催の付随的利益にすぎず、それがA会の本来の目的ではない以上、右会の性格は、親睦団体の域を出ないものとの先の判断をくつがえすことができず、仮にそうでないとすると、単なる接待のためにする宴会の類のものも、広く、業務の追行と解されることになり、そうなると、その出席途上での死傷も業務上のものであるとして、労働者災害補償保険法の規定によつて補償を求めることができることとなろうが、このようなことは、社会通念上許されるところではない。 もちろん、親睦目的の会合ではあつても、右会への出席が業務の追行と認められる場合もあることを否定できないが、しかし、そのためには、右出席が、単に事業主の通常の命令によつてなされ、あるいは出席費用が、事業主より、出張旅費として支払われる等の事情があるのみではたりず、右出席が、事業運営上緊要なものと認められ、かつ事業主の積極的特命によつてなされたと認められるものでなければならないと解すべきところ、〈証拠略〉によれば、A会への出席が、同人の命令によつてなされ、あるいは出席費用が出張旅費あるいは交際費として支払われたことは認められるけれども、他方訴外B商事の代表取締役であるC自身、A会の例会の年間開催回数をはつきり覚えていないこと、またA会の設立目的も明確に意識していないことがうかがわれるのであるから、右会の例会への出席が訴外B商事の事業の運営に緊要であり、かつ、それへの出席が代表取締役であるC久夫の積極的特命によつて行われたとまでは、とうてい認めることができず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。 そうするとA会への出席をもつて、労働契約の本旨に従つて行動するもの(すなわち、いわゆる業務の追行)であるとすることはできず、そうなれば、訴外Dの死亡をもつて、労働者災害補償保険法第一条にいうところの「業務上の事由による死亡」であると判断することはできない。 |