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ID番号 05178
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 なし
争点
事案概要  第三者災害たる自動車事故により労働者が重傷を負い加害者に対して損害賠償を請求したケースで、被災者が将来受給するであろう障害補償年金の損害額からの控除の当否が争われた事例。
参照法条 民法709条
労働者災害補償保険法20条(旧)
体系項目 労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 労災保険と損害賠償
裁判年月日 1977年5月27日
裁判所名 最高三小
裁判形式 判決
事件番号 昭和50年 (オ) 431 
裁判結果 棄却
出典 民集31巻3号427頁/時報857号73頁/タイムズ350号269頁/裁判所時報719号1頁/金融商事525号7頁/交通民集10巻3号651頁/裁判集民120号603頁
審級関係 控訴審/福岡高/昭50. 1.28/昭和49年(ネ)20号
評釈論文 下森定・判例タイムズ359号117頁/下森定・判例タイムズ367号36頁/柿島美子・法学協会雑誌96巻1号88頁/時岡泰・ジュリスト648号84頁/時岡泰・法曹時報30巻7号1145頁/西村健一郎・民商法雑誌78巻3号362頁/大喜多啓光・民事研修247号23頁/谷口知平・昭和52年度重要判例解説〔ジュリスト666号〕79頁
判決理由 〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-労災保険と損害賠償〕
 厚生年金保険法四〇条及び労働者災害補償保険法(昭和四八年法律第八五号による改正前のもの。)二〇条は、事故が第三者の行為によって生じた場合において、受給権者に対し、政府が先に保険給付又は災害補償をしたときは、受給権者の第三者に対する損害賠償請求権はその価額の限度で当然国に移転し、これに反して第三者が先に損害の賠償をしたときは、政府はその価額の限度で保険給付をしないことができ、又は災害補償の義務を免れるものと定め、受給権者に対する第三者の損害賠償義務と政府の保険給付又は災害補償の義務とが、相互補完の関係にあり、同一事由による損害の二重填補を認めるものではない趣旨を明らかにしている。そして、右のように政府が保険給付又は災害補償をしたことによって、受給権者の第三者に対する損害賠償請求権が国に移転し、受給権者がこれを失うのは、政府が現実に保険金を給付して損害を填補したときに限られ、いまだ現実の給付がない以上、たとえ将来にわたり継続して給付されることが確定していても、受給権者は第三者に対し損害賠償の請求をするにあたり、このような将来の給付額を損害額から控除することを要しないと解するのが、相当である。