ID番号 | : | 05188 |
事件名 | : | 休業補償不支給処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 王子労基署長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | プラスチツク容器の製造・販売の会社でパートタイムの従業員として雇用されボルトの箱づめ作業に従事してきた者が頚腕症候群にかかり、それが業務上の事由によるものであるとして労災保険給付を請求した事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法1条 労働者災害補償保険法14条 労働基準法75条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 職業性の疾病 |
裁判年月日 | : | 1978年12月20日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和51年 (行ウ) 56 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | タイムズ381号120頁/労経速報1002号3頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-職業性の疾病〕 頚腕症候群の認定基準に関する労働省労働基準局長の通達(昭和四四・一〇・二九基発七二三号、同五〇・二・五基発五九号、同五三・三〇基発一八六号)と、〈証拠〉とによれば、頚腕症候群とは、キーパンチヤー、タイピスト、レジスター等上肢に過度の負担のかかる業務に相当期間継続して従事した場合などに罹患することのある傷病であるが、業務外の原因によつても罹患しうるものであることが認められる。しかるに、以上の1ないし3において認定した限りの事実関係のもとにおいては、仮に原告が昭和四七年九月八日当時頚腕症候群に罹患していたとしても、原告が同年四月六日以降A会社において右1で認定した内容及び程度の業務に右2で認定した期間だけ従事したことが頚腕症候群罹患の原因(但し、相当因果関係を認めるに足りる程度の原因)となりうるものであるか、また、仮に理論上このことを肯定しうるとしても、実際上も、原告の頚腕症候群の罹患が昭和四七年四月六日以降A会社での業務に従事したことによるものであるか、それとも、それ以前に原告の関係した業務上または業務外の原因によるものであるかについて、これを明確に判定することが困難である。そして、本件の全証拠を検討しても、その他にこれを明確に判定するに足りる資料はない(なお、すでに認定したとおり、原告の病名を「頚腕症候群、腰痛症」と診断した岸病院の医師岸広豊も、その発病原因については、「つかれによるものの他に精神的な何かがある為に神経症状が出て来たものと思われる」としているにすぎないし、また、原告の病名を「頚腕症候群の疑い」と診断したB病院の医師Cも、その発病原因は不明とするほか、「患者の訴えが多く、その割に他覚的所見は余り認められず、治療を止めて良いのではないかと患者に話した、精神的な因子も考えられるケースであつた、」としているにすぎない。)。そうすると、結局、本件においては原告が昭和四七年四月六日以降A会社で従事した業務と原告の頚腕症候群罹患との間には相当因果関係を認めることが困難であるといわざるをえない。 |