ID番号 | : | 05192 |
事件名 | : | 療養補償給付不支給処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 尼崎労基署長(神崎製紙)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 「健康づくり運動」の一環として休憩時間中に行なわれたドッジボールにおいてボールが耳にあたり負傷したのが業務上の事由に当るか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法75条 労働者災害補償保険法7条1項 労働者災害補償保険法13条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 休憩時間中 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務遂行性 |
裁判年月日 | : | 1988年3月24日 |
裁判所名 | : | 神戸地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和61年 (行ウ) 10 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 訟務月報34巻10号2039頁/労働判例515号38頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 野間賢・季刊労働法148号182~183頁1988年7月 |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務遂行性〕 災害について「業務上」と認められるためには、当該災害が業務遂行中に(業務遂行性)、業務に起因して(業務起因性)発生したものであることを要するものであることは、いうまでもない。そして、業務遂行性があるとは、事業主の支配下にあり、かつ、施設管理下にあって業務に従事している場合に限られるものではないが、事業主が就業時間外において主催する、通常の業務と異なる運動競技会等の行事については、右行事を行うことが事業運営上必要と客観的に認められ、かつ、従業員に対し右行事への参加が強制されている場合にのみ業務遂行性が認められるものと解するのが相当である。 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-休憩時間中〕 右各事実によれば、会社は従業員の体力の維持及び増進が災害防止及び疾病による休業日数の減少にもつながることから「健康づくり運動」を積極的に推進し、本件競技もその一環として対象者の全員参加を目標にして計画実施されたものであるが、他方、本件競技は就業時間外に行われ、不参加によって不利益な取り扱いを受けるようなこともなく、また、参加人数、参加呼び掛けの態様及び競技を途中で打ち切らざるをえなかった状況からみても、対象者に参加を強制したものとはいえない。結局、会社は、従業員の健康に留意することが会社の努力義務でもあり、終局的には会社の事業運営にも役立つことから、本件競技を含む「健康づくり運動」に対象者が参加しやすいよう積極的に側面から援助していたにとどまるものであって、本件競技への参加は業務には当たらず、原告の受傷について業務遂行性を認めることはできない。そして、他にこの認定を覆すに足る証拠もない。 |