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ID番号 05193
事件名 休業補償給付を支給しない旨の処分の取消請求事件
いわゆる事件名 甲府労基署長事件
争点
事案概要  休業補償の請求につき労働者の変形性関節症が業務上のものか否かが争われた事例。
参照法条 労働基準法76条
労働者災害補償保険法14条
体系項目 労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 休業補償(給付)
裁判年月日 1988年3月28日
裁判所名 甲府地
裁判形式 判決
事件番号 昭和59年 (行ウ) 2 
裁判結果 棄却
出典 労働判例517号28頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-休業補償(給付)〕
 前記のとおり、変形性関節症は、老化現象として自然発症したり、本人の内的素因を基礎として発症したりすることも多いものであるから、業務との因果関係を肯定するためには、単に当該労働者が一般的にみて発症の要因となりうる労働に従事していたということだけでは足りず、自然発症又は主として本人の内的素因に基づく発症と明確に区別された形で、当該労働が変形性関節症発症の原因であることが明確に肯定できることが必要である。
 しかるところ、前記2で認定したように原告は土木作業に継続して従事していたわけではなく、その傍ら自己の経営する農業に従事していたのであり、業務の内容等と原告の変形性関節症の症状等との間に前述のような関係を認め得る証拠はなく、また、原告の年齢、前記医師の診断等も考慮すると、変形性関節症が過去の労働に起因するものとは認められない。
 三 以上の次第により、原告の傷病が業務上の事由とは認められず、結局治癒後の請求であるとして休業補償給付を支給しない旨の本件各処分には、違法な点はなく右各処分の取消を求める原告の請求は理由がない。