ID番号 | : | 05194 |
事件名 | : | 公務外認定処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 大蔵省近畿財務局職員事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 大蔵省近畿財務局に勤務している職員が庁舎内で階段を踏み外して踊り場に転落して脊髄出血の傷害を受けたことが公務上の事由によるものといえるか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 国家公務員災害補償法3条 国家公務員災害補償法8条 行政事件訴訟法3条1項 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 審査請求・行政訴訟 / 行政処分の存否、義務づけ訴訟等 |
裁判年月日 | : | 1988年3月28日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和61年 (行ウ) 45 |
裁判結果 | : | 却下(控訴後取下) |
出典 | : | 時報1306号27頁/タイムズ699号202頁/訟務月報34巻10号2058頁 |
審級関係 | : | 控訴審/大阪高/ . ./昭和63年(行コ)11号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-審査請求・行政訴訟-行政処分の存否、義務づけ訴訟等〕 そこで右両者を対比すると、国公災法は、「実施機関の認定」作業は補償事務主任者からの報告に基づきなされるのであって、これは機関内部による自発的な処理という建前をとっており、災害が公務上のものである旨の被災職員等からの申出は、補償事務主任者の実施機関に対する報告義務発生の契機にすぎないと考えられるのに対し、地公災法の場合は、「基金の認定」作業は被災者の補償請求申立てに対する審査認定という建前をとっている。また、国公災法の場合は、「実施機関の認定」に対して人事院への審査申立てを定めるのみで、人事院の判定がなされた後の不服申立て方法についてはなんらの規定もされていないのに対し、地公災法の場合は、「基金の認定」(決定)に対し、審査請求前置による司法審査を求めうるとされている。この二点の相違点からすると、地公災法の「基金の認定」は、被災者の補償請求申立てに対してその請求権の存否またはその範囲を確定する行政処分である(取消訴訟によらないかぎり、その効力を否定できない。)のに対し、国公災法の「実施機関の認定」は、災害事故が発生した場合に、被災者の補償請求申立ての有無にかかわらず、その災害補償を簡易迅速に処理するための内部的勧告的措置としてなされるものであり、したがって被災職員等に対する補償請求権の存否及びその範囲を確定するための処分ではないというべきである。そうすると、「実施機関の認定」は、行政事件訴訟法第三条第二項にいう行政処分に当たらないというべきである。 |