ID番号 | : | 05198 |
事件名 | : | 行政処分取消請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 地公災基金埼玉県支部長(越谷市職員)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 県の職員が出張中に脳卒中で死亡したケースが公務上の事由によるものといえるか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 地方公務員災害補償法31条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等 |
裁判年月日 | : | 1988年6月29日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和61年 (行コ) 55 |
裁判結果 | : | 棄却(確定) |
出典 | : | タイムズ680号137頁/労働判例528号98頁 |
審級関係 | : | 一審/浦和地/昭61. 5.30/昭和56年(行ウ)11号 |
評釈論文 | : | 長谷川誠・昭和63年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊706〕378~379頁1989年10月 |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕 一 当裁判所も、被控訴人の本訴請求は、正当としてこれを認容すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり訂正、付加するほかは、原判決の理由説示と同じであるから、これをここに引用する。 〔中略〕 同四九枚目裏末行〔同4段目4行目〕の「前者は、」から同五〇枚目裏八行目末尾〔同段後から3行目〕までを次のとおり改める。 「脳血栓は、脳動脈壁の硬化、肥厚などによりその内腔が狭くなり、そこを流れる血液量が減少し、その流域の脳組織が局所的に虚血に陥って壊死を起すものであり、脳塞栓は、動脈硬化性ないしリウマチ性心疾患に続発する心房細動の結果、心臓内に血栓が形成され、それが剥離し、その断片が血流を介して脳に至り、脳血管を閉塞して起こすことが最も多い。そして脳梗塞の原因の大部分を占めているのは脳血栓であり、脳血栓は、例外的な場合を除き、殆んどが脳に関連した動脈硬化を基盤として発症するものとされている。動脈硬化は、一般に、かなり若い年代から始まり、年をとるにつれて増大し、その程度は各個人によって差があるが、その発症及び増悪因子として、食事(塩分の過剰摂取、習慣的飲酒、喫煙なども含まれる)、運動、血圧、神経の緊張度(心労、不安などの心理的ストレスや気候の変化などによる物理的ストレスを含む)、遺伝などが挙げられている。これらの中でも脳血栓発症のいわゆる引き金として、ストレスが重要視されており、このストレスが遊離脂肪酸やカテコールアミン、コレステロールを血中において増加させ、副腎皮質ホルモンの増減等に影響を与えることによって動脈硬化に増悪的に作用すると考えられている(なお、動脈に何らの病変もない場合、単なるストレスのみによって脳血栓が発症するということは一般的には考え難い。)。」 |