ID番号 | : | 05205 |
事件名 | : | 遺族補償給付金等不支給処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 渋谷労基署長(東海大学)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 深夜タクシーで帰宅途中、急性心不全により死亡した大学職員の事故につき、業務上の死亡に当るか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法7条1項 労働者災害補償保険法16条 労働基準法79条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等 |
裁判年月日 | : | 1988年11月22日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和61年 (行ウ) 76 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例531号75頁/労経速報1346号17頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕 3 ところで、Aの直接死因である急性心機能不全は、業務と関連性のない三尖弁閉鎖不全という基礎疾病に基づくものであるとの、右の解剖所見に基づく判断を左右すべき証拠はないが、このような場合であっても、業務が基礎疾病を自然的経過を越えて、急激に増悪させ、あるいは基礎疾病と共同原因となって死亡の結果を招いたと認められる場合には、死亡の業務起因性を肯定すべきであると考えられるので、この点について検討する。 〔中略〕 原告本人尋問の結果によれば、Aは死亡直前の一一月一三日の朝、妻である原告が起こしても起きられない程疲れており、一旦は休もうかなと言ったが、今日はどうしても出なければならないと言って出勤したこと、翌一四日午前零時過ぎに勤務先のAから自宅の原告に電話があり、帰ろうかな、泊ろうかなと言っていたが、ひどく疲れたような声であったことが認められる。しかし、そのような疲労が、業務に起因するとは、前認定のような業務の状況に照らすと、必ずしも認めることはできない。またその疲労の程度についても、既存疾病である三尖弁閉鎖不全を自然的経過を越えて急激に増悪させ、あるいはこれと共同して急性心機能不全を発症させる程度のものであったことも、右の原告本人尋問の結果のみによっては、にわかに肯認し難く、他にこれを認めるに足る証拠はない。してみれば、Aの直接死因である急性心機能不全の業務起因性は、肯定することができないというべきである。 |