ID番号 | : | 05210 |
事件名 | : | 療養補償給付不支給処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 西宮労基署長(甲山学園)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 福祉センターにおいて重度精神薄弱児の生活指導・介助等の業務に従事してきた児童指導員に発症した頚肩腕症候群につき業務起因性が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法13条 労働基準法75条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 職業性の疾病 |
裁判年月日 | : | 1989年3月14日 |
裁判所名 | : | 神戸地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和60年 (行ウ) 9 |
裁判結果 | : | 認容(確定) |
出典 | : | タイムズ705号166頁/労働判例537号34頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-職業性の疾病〕 (二) 右認定事実によれば、当時原告らの従事していた業務内容は、キーパンチャーやタイピスト等とは異なり、業務の種類が多く、同一作業の反復ではなく、かつ身体の一部位特に上肢のみを使用するものではなく全身労働であったから、業務自体が頚肩腕症候群を発症させる典型的な作業とはいいえないものと認められ、したがって、その業務起因性の有無を判断するには、原告らの業務内容につき個別的な検討が要求されるわけである(昭和五〇年二月五日付、労働省労働基準局補償課長事務連絡第七号。〈証拠略〉参照)。そして、右検討に際しては、単に作業態様、従事期間及び業務量だけでなく、特に上肢の動的・静的筋労作がどの程度含まれているかを問題とすべきであると解される。 〔中略〕 以上認定説示した、原告の業務内容、原告の勤務状況、原告が従事していた期間におけるA学園の特殊性、原告の肉体的条件、原告の頚肩腕症候群につき考えられる他の要因はないこと、A学園に従事する保母・指導員で頚肩腕症候群につき業務上認定受けた者と原告との業務内容等の比較、A学園が頚肩腕症候群の多発職場であること、業務起因性を肯定する有力な医証も存在すること等を総合して考えると、原告の頚肩腕症候群はA学園における指導員としての業務に起因して発症したものというべく、右認定に反する証人Bの証言は措信せず、他に右認定に反する証拠はない。 したがって、本件処分は、事実の誤認に基づく違法なものであって、取消すのが相当である。 |