ID番号 | : | 05224 |
事件名 | : | 労災保険休業補償不支給処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 天満労基署長(中川)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 空調設備工事の作業に従事していた労働者に発症した脳内出血につき業務に起因するか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法7条1項 労働者災害補償保険法12条の8第1項 労働基準法75条 労働基準法76条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等 |
裁判年月日 | : | 1989年11月27日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和62年 (行ウ) 38 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例554号58頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕 (1) 前認定のとおり、原告は、照明の光りが遮られ、ねじれた姿勢をとり、狭い間に頭部を入れての作業で頭部を抜くときに苦労したことがあり、作業がやりにくかった面は否定できないが、作業環境が特に劣悪であるとは認められず、原告は長年本件のような作業に従事しているのであって、通常所定の業務内容と比較して、右作業環境のため特に精神的又は肉体的な負担が強度であったとは認め難い。また、前日までの仕事の状況は前認定のとおりであり、原告にとって特に過重なものとは認め難い。 (2) 仕事に関係して、上司、顧客、同業者等との間で多かれ少なかれ軋轢が生ずることは通常のことであり、前記認定の原告と現場監督との軋轢は、そもそもその内容からして、原告に強度の精神的負担を与えたとは認め難いし、前記二(三)(1)ないし(3)の事実については本件疾病の発症日から三日ないし二〇日前のことであり、同(4)の事実についても当日の午前中のことであり昼食時には原告は元気で特段変わった様子は見られなかったことからして、いずれも本件疾病の発症に影響を及ぼしたとは認め難い。 (3) (証拠略)によれば、転倒により著しい精神感動をきたし一過性に血圧が高度に上昇した場合、その血圧上昇を誘因として脳内出血が起こりうることが認められるが、証人Aの証言によれば、本件転倒のように腰や足の打撲に基づく精神的ショックや興奮により、脳内出血が惹起されるとは考え難いことが認められるので、原告が本件転倒により一過性に血圧が高度に上昇し、そのため本件疾病が発症したとは認め難い。 (4) 作業環境、現場監督との軋轢及び本件転倒が競合して本件疾病が発症したと認めることも困難である。 (三) 以上説示のとおり、原告の業務及び本件転倒と本件疾病との間に相当因果関係を認めることはできない。 |