ID番号 | : | 05249 |
事件名 | : | 遺族補償費等不支給処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 厳原労基署長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 砕石の現場責任者が水中ポンプの漏電により死亡したケースにつき、私的行為に起因するものではなく業務起因性ありとして業務災害にあたるとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法7条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性 |
裁判年月日 | : | 1989年10月20日 |
裁判所名 | : | 長崎地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和62年 (行ウ) 2 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働判例551号25頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕 3 以上の事情のほか、前記三で認定した被災当時のA砕石での仕事の繁忙状況や亡Bの担当職務の内容、同人が倒れていた時の本件小川の状況(水中ポンプないしその動力ケーブルから漏電して魚が水面で痙攣したようにピチピチしていたこと)や亡Bの服装などの亡Bが死亡するに至った事情を考慮すると、A砕石の現場責任者であった亡Bが業務を逸脱して勤務時間中に一人で食に供せないようなフナをたも網で獲って遊んでいたとは通常考えられないというべきであり、かりに、たも網を使っていて感電したと仮定しても、革製の安全靴を履き、防塵マスクはしたままであったことなどからして、むしろ、本件水中ポンプから電気が漏電していて感電した魚が痙攣したようにピチピチ浮いていたため、職務上本件水中ポンプの管理をしていた亡Bが水中ポンプの吸込口に水圧で魚が付かないようにたも網で浮いていた魚を除いていたものと推認するのが自然であって、これを目して業務逸脱の私的行為とは言い難い。 従って、被告の右主張は採用しない。 七 そうすると、これまでに述べた諸事情を総合すると、亡Bは、本件水中ポンプの電源を切ることなく、水中ポンプ近くでピチピチしている魚を不審に思い川岸に近寄り、或は右のとおりたも網で魚を除いていたかしていて、誤って本件小川の中にすべり落ちて腹部より下半身が水の中に漬かり、水中ポンプから漏電していた電気に感電し、心臓にその衝撃が加わって急性心臓死したものというべきである。 従って、亡Bは、業務の遂行中に業務と相当因果関係のある災害によって急性心臓死したということができ、その死亡は労働基準法七九条、八〇条の「業務上死亡した場合」に該当するというべきであるから、これが業務上の事由によるものとは認められないとしてなした被告の本件処分は違法である。 |