ID番号 | : | 05262 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 尚絅学園事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 高校教諭に対する適格性を欠くとしてなされた解雇が有効とされた事例。 高等学校講師に対する一年間の雇用契約の期間満了を理由とする雇止めが適法とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法89条1項9号 民法628条 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務能力 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め) |
裁判年月日 | : | 1990年3月29日 |
裁判所名 | : | 熊本地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和59年 (ワ) 292 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例560号6頁/労経速報1402号8頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務能力〕 (二) かように、前記認定の事実を個々的に見れば、そのなかには原告X1の職務熱心の発露と言えなくもないものもあるが、これらの事実を総合すれば、それは原告が組織の職員ないしは教師として不適格であることの微表であると見ることができ、しかも、前記認定の事実からすると、それらは容易に矯正できない原告X1の持続的性格に起因するものと窺えるから、結局、それらは本件就業規則の解雇理由のうち同規則二〇条3号の「その職に必要な適格性を欠く場合。」に該当すると言うべきである。したがって、再々抗弁が認められる。 (三) なお、再々抗弁に挙げられた事由のなかには、前記懲戒委員会における懲戒理由として挙げられたもの以外の事実も含まれているが、本件解雇は、就業規則上の普通解雇であって、右懲戒委員会で検討された原告X1の個々の行為に対する懲戒責任を問うものではなく、同人の職務適格性を問題にしているのであるから、解雇理由として懲戒委員会に諮問された事由以外の事実を斟酌することも当然許されると言うべきである。 また、被告代表者尋問の結果によれば、A理事長に対する暴言の件以外は、その段階で、始末書を取ったり懲戒委員会にかけられたりするなど、本件高校内で正式に問題とされたものではないことが認められるが、それは原告X1の職務適格性を否定する根拠とはなし難い。 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕 三 以上の事実によれば、原告X2の採用辞令に記載された期間の定めは形式的なものではなく、原告X2の本件雇用契約は一年間の期間の定めのあるものであり、いずれも昭和五九年三月二六日でその期間が満了したこと(抗弁2)が認められる。 〔中略〕 また、原告X2は本件雇用契約の期間の定めが公序良俗に反し無効であると主張しているが、期間の定めのある雇用契約を締結することは、企業の存立維持を目的とし、収益の多寡に応じて人員を弾力的に保持するために採られた雇用契約の形態であって、やむを得ない雇用量の調節手段として是認されるものと解すべきであり、この理は、原告X2のように教育を目的とする労働者にとっても変わるところはない。したがって、本件雇用契約における期間の定めが公序良俗違反により無効であるとまでは言えず、再抗弁2(一)(2)も理由がない。 |