全 情 報

ID番号 05271
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 青空交通事件
争点
事案概要  「協力金」という名目の金銭は従業員個人に支払われていたものではなく、親睦会に支払われていたものであるとして、差別的支給の主張が棄却された事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 賃金(民事) / 賃金の範囲
裁判年月日 1990年4月23日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和63年 (ワ) 11934 
裁判結果 棄却
出典 労働判例565号86頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-賃金の範囲〕
 2 (証拠略)によれば次の事実が認められ、この認定に反する原告本人尋問の結果は採用しない。
 (一) 親睦会は昭和五〇年秋頃に乗務員を中心とした従業員により組織され、その目的は会員相互の親睦を図り、会員生活の安定を期することにある。現在被告の乗務員数は本社で約一五〇名、東大阪営業所で約四〇名であるが、本社の乗務員のうち約一二〇名が親睦会に加入している。
 (二) 被告は親睦会を労働組合として扱い、従業員の労働条件については親睦会と団体交渉を行って決定し、合意事項については協定書を作成し、他の労働組合加入の二、三名を除き全従業員に適用している。
 (三) 親睦会は、会員が業務中に交通事故及び交通違反等を起こした場合に、同人が支払うべき反則金又は罰金を肩代わりするという罰金共済制度を運営し、会員から親睦会費及び罰金共済費を徴収している。
 (四) 被告は親睦会の要求に基づき、同会に対し、罰金共済制度及び会員の旅行会や運動会費用に対する援助として、一年間で多いときは会員数に一万二〇〇〇円を乗じた程度の金額、少ないときに五〇ないし六〇万円を支給してきた。
 (五) 右支給は親睦会という団体に対するものであって会員個人に対するものではなく、親睦会は支給金を罰金共済制度や旅行会などの費用に用い、会員個人に分配してはいない。
 3 原告は、被告に協力金を支払う旨約したと主張するが、この事実を認めるに足る証拠はない。
 4 原告は、被告の差別的取扱により協力金相当額の損害を被った旨主張するが、被告は親睦会に対し、罰金共済制度及び旅行などに対する援助として金員を支給しているのであり、原告に対しても右金員を支給すべき法律上の根拠はなく、原告が協力金相当額の損害を被ったとは認められないから、その余の点について検討するまでもなく、原告の協力金請求は失当である。
 三 運転手の斡旋料について
 1 原告、被告代表者各本人尋問の結果によれば、原告は昭和六〇年三月頃タクシー運転手一名を被告に斡旋し、被告は同人を雇傭したことが認められる。