ID番号 | : | 05282 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 熊本営林局事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | チェンソー使用による振動障害につき、国には安全配慮義務違反はないとされた事例。 |
参照法条 | : | 民法1条2項 国家公務員法3章6節 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任 |
裁判年月日 | : | 1989年8月17日 |
裁判所名 | : | 福岡地田川支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和55年 (ワ) 34 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | 時報1331号109頁/労働判例547号44頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務・使用者の責任〕 二 以上認定の事実によれば、チェンソー使用により原告に振動障害が発症したということに疑問を抱かざるを得ない。なるほど、原告は振動障害と認定されているが、これは、原告が振動障害と診断された昭和五一年一月当時においては、チェンソー等による振動障害の病態像そのものが医学上判然としない状況にあったことから、振動障害の認定にあたっては、加齢現象あるいはチェンソー等による振動障害の症状と類似する私傷病による症状との鑑別について特に留意されることなく、チェンソー使用者に特段の私傷病の素因などが認められない限り、チェンソー使用者の訴える障害は振動障害による症状であると認定されていたのが実情であったからであろう(右実情は弁論の全趣旨により明らかである。)。そうすると、原告が振動障害と認定されているからといって、原告に振動障害が発症したということはできない。むしろ、前記認定の事実によれば、原告の有する諸症状は加齢による老化現象による可能性が極めて強いというべきである。 三 以上の次第で、原告の有する諸症状がチェンソー使用に起因するものであるとの原告の主張は肯認できず、従って、右症状を前提とする原告の本訴請求はその余の点について判断するまでもなく理由がない。よって原告の本訴請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。 |