ID番号 | : | 05300 |
事件名 | : | 従業員地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 大阪京阪タクシー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 同僚への暴力行為を理由とするタクシー運転手に対する懲戒解雇につき、権利濫用にあたり無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言 |
裁判年月日 | : | 1989年9月26日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和62年 (ワ) 1913 |
裁判結果 | : | 一部認容棄却 |
出典 | : | 労働判例554号84頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕 三 しかして、Aが前記タクシー仲間のルールに客観的に違反したか否かは別として、右認定事実によれば、原告が無抵抗のAに対し暴行を加えた行為は非難を免れないうえ、被告は真相を究明すべく原告を含む関係者から事情を聴取し、労働協約に基づき組合と協議した結果、原告の再就職に配慮して懲戒解雇から論旨解雇へ処分を軽減したのに原告がこれに応じなかったので改めて懲戒解雇したことが認められるけれども、他方、原告が乗客の言葉やAの対応等に照らし、Aが前記タクシー仲間の乗車ルールに違反し、信義に反する行為を行ったと判断したことには相当の理由があり動機において同情すべき点があること、原告はAの疾病につき善意であったうえ暴行等は突発的なものであり、しかも暴行等の部位は身体の枢要部ではなく、その程度も経微であって(約二週間の安静加療を要するとの診断は原告の前記特異体質に配慮したためであると推認される。)、態様も社会的相当性を著しく逸脱したものではないこと、原告とAは相互に陳謝し第三者の立会いで仲直りしたが、被告は同事実を知らないまま懲戒解雇をしたこと等の事実が認められ、これに原告の従前の処分歴等が本件全資料によっても窺えないことを併せ考えると、被告が原告に対し、懲戒解雇をもって臨むことは苛酷に過ぎ社会的に相当なものとして是認することはできないから、本件懲戒解雇は解雇権の濫用として無効であると言わねばならない。 |