ID番号 | : | 05318 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 刈谷生活協同組合事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 試傭従業員については、業務の都合によるという理由によって試傭を取り消すことができ、権利濫用となすべきではないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法21条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 試用期間 / 本採用拒否・解雇 |
裁判年月日 | : | 1951年12月4日 |
裁判所名 | : | 名古屋地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和26年 (ヨ) 380 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労働民例集2巻5号578頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-試用期間-本採用拒否・解雇〕 申請人は、右は申請人の態度が高圧的であるとの事実無根な理由や些細な事務のかしを理由としてなされたものであつて解雇権の濫用であると主張するから、まずこの点について考察する。およそ雇傭契約において、解雇は契約の解除とことなりいわゆる告知であつて雇傭主の自由になしうるところである。しかしながら、権利の行使といえども信義誠実の原則に反するときは権利のらん用として許されないこと勿論であり、この理は労働関係においてもなんら異なるところはない。けだし、労働者は一般に雇傭による収入をもつて殆んど唯一の生活資金としており、一旦解雇されると容易に他の職につくことができず解雇によつて全くその生活をおびやかされるに反し、使用者は他の労働者を求めるのに比較的容易であるからである。従つて、解雇になんら相当な事由のないときは権利のらん用とされることが多いというべきであり、このことは試傭中のものに対する場合においても同様である。ところで本件についてこれをみるに、〔中略〕被申請人組合の就業規則第十八条には「試傭期間は三ケ月とする。但し業務の都合により試傭期間を延長し又は試傭を取り消すことがある」旨定められてあり、被申請人組合は右規定にもとずき申請人の試傭を取り消したことが窺われる。そして右規定にいわゆる試傭とはその字句の示すとおり試験的の雇用であつて、被申請人組合は業務の都合により自由に右試傭を取り消すことができるものと解すべく、これをもつて解雇権の濫用となすべきではない。よつて申請人の右主張は採用するに由ないものといわねばならない。 |