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ID番号 05319
事件名 仮処分抗告申立事件
いわゆる事件名 日本通運事件
争点
事案概要  懲戒解雇については諮問委員会の諮問を経なければならないとの就業規則の規定がある場合につき、諮問委員会の構成員たるべき組合三役を含む執行委員の全員を懲戒の対象とするときは、右規定の適用はないとされた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒手続
裁判年月日 1951年12月18日
裁判所名 東京高
裁判形式 決定
事件番号 昭和26年 (ラ) 342 
裁判結果 抗告棄却
出典 労働民例集2巻6号682頁
審級関係 一審/新潟地/   .  ./昭和25年(ヨ)117号
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒手続〕
 即ち仮に相手方はその自ら制定した会社の就業規則に拘束せられるものとするも、本件に顕れた資料によれば就業規則による懲戒委員会規約が未だ制定されず、従来は会社側から部課長、組合側からは執行委員中の三役を以て事実上懲戒委員会を構成して諮問し実際の運営がなされて来たものであるところ、今回の懲戒解雇の対象(被解雇者)は組合側執行委員の全員であつて従来の慣例によるも懲戒される者に対して懲戒すべきか否かを諮問することゝなる結果会社側委員丈を以て諮問委員会を開きその答申を資料として懲戒解雇を決定した経過にあることが認められる。而してこのような組合側の執行委員会全部が解雇の対象となるが如き場合、執行委員を諮問委員に加えその諮問委員会に諮問するが如きは公正な資料を得る為めの諮問制度の意義を達し得ない場合と考えられるから、本件のような稀有の場合にも会社は右就業規則に拘束せられるものと解することは無意義な形式論に囚われた解釈と云うべく、従て本件に於ては就業規則中の懲戒解雇につき諮問委員会の諮問を経ることを必要とする規定は適用の余地がなかつたものと認める。