ID番号 | : | 05320 |
事件名 | : | 解雇無効確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 広島牛乳事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 人員整理に基づく解雇につき、停年に達したものから解雇したもので、「業務上の都合による」ものとして有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法1条3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇の必要性 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇基準・被解雇者選定の合理性 |
裁判年月日 | : | 1951年12月18日 |
裁判所名 | : | 広島地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和26年 (ワ) 196 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集2巻6号641頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-整理解雇-整理解雇の必要性〕 〔解雇-整理解雇-整理解雇基準〕 よつて右解雇の効力について考えてみると、 〔中略〕 被告会社は昭和二十五年九月頃から経営不振に陥つていた処え、従来被告会社に原乳を供給していた佐伯郡A酪農組合が同年十一月から市内(略)に直営の牛乳工場を作つて牛乳の処理販売を始め、急速に販路を拡大し、牛乳の値段も一本十円の小売価格を八円に大幅に値下し、十本に一本のサービスをするなどしたので被告会社はその地元(略)に於てさえ可成の販路を喪うに至つた。そこで被告会社の株主であり、原乳の供給者たるB酪農組合に原乳の値下げを求めたけれども、これにも限度があることとて、それ以上は企業整備を強行し、毎月十八万円の人件費を十五万円に抑えるより外手段がないことになつたので従業員三名を解雇し、これにより右三万円を浮かせることに決定し、その人選に際してはまず停年に達していることを基準の一とすることとした結果、原告が解雇人員の一人として選ばれ、原告はC総務部長から「君も年をとつている事でもあるから気の毒だが会社を引いて貰いたい、」と申し渡され解雇手当の支給をうけて解雇された。尤もその直後被告会社において外交員の募集広告をし、その後四名の従業員を新規に採用したことはあるが、そのうち一名は退職女子従業員の補充であり、他の一名は宿直兼倉庫管理人であり、他の二名は前記の如き会社の窮境を打開するために始めた煉乳製造のための技術員であつて、何れもやむを得ない事情によつて採用した者であることが認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。 如上認定のような情勢のもとにおいて、人員整理をすることは被告会社としては誠にやむをえない措置というべく、右の如き企業整備を必要とする事情はとりもなおさず、成立に争ない甲第一号証被告会社の就業規則第四章第一節第二項第四号の「其の他業務の都合によるとき」とある場合に該当するから本件解雇は正当であるといわねばならない。 もつとも成立に争のない甲第三号証には原告にその主張するような不利益事情が記載してあるけれども、このことから直ちに原告にその主張のような不始末があるといえないのみならず、右認定を覆して被告会社が原告主張のように就業規則に違反してなされたとか、或は解雇権を濫用したと即断することはできず、他にこれを肯認するに足る証拠はない。 |