ID番号 | : | 05332 |
事件名 | : | 解雇無効確認請求訴訟事件 |
いわゆる事件名 | : | 岡野バルブ事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社・組合間の協定に従って退職届を提出し異議なく退職した者が、後に解雇の無効を主張してその無効確認を請求した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 退職 / 合意解約 |
裁判年月日 | : | 1954年6月19日 |
裁判所名 | : | 福岡地小倉支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和28年 (ワ) 421 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報154-155号2頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔退職-合意解約〕 結局翌昭和二十六年一月十四日に至つて、組合執行部は予て会社から示されていた妥協案を受諾することに決し、原告らを説得した結果、原告らもやむを得ずとしてこれを承認したので、原告らを除き組合執行委員全部と会社側の代表者出席の上、「会社は原告らが昭和二十五年十二月八日附で退職願を提出し依願退職することを条件として、さきになした解雇の意思表示を撤回し、原告らが前記通告書に記載された十二月八日附を以つて依願退職の承諾をなしたものとする。従つて前示通告書並びに組合への申入書に記載した法規所定の解雇予告手当、会社規定による退職金及び会社がさきに十二月八日までに依願退職(雇傭関係の合意による終了)した場合でなければ支払わないことを明示した特別退職金を原告らに支給する外、新たに右特別退職金と同額の社長餞別金を支給する旨」を記載した協定書に双方の代表者が署名捺印し、原告らもこれを受諾した。(右協定書は翌十五日の組合大会で承認され、その上で調印された。)よつて原告らは二、三日後の一月十七、八日頃何らの異議を留保することなく退職願を会社に提出し、同月二十二、三日頃前記協定書通り、法規所定の解雇予告手当の外、会社規定による退職金、依願退職(雇傭関係の合意による終了)の場合のみ支給することを会社が明示した特別退職金及び前記協定により新たに支給することとなつた社長餞別金を何らの異議を留めずして受領した上、「爾後退職に関して何らの異議又は一切の訴訟をなさないことを申添えます。」と附記した領収書を提出し、なお原告らは退職に伴う諸給与を受領するため会社に赴いた際、原告らX1、X2を除く他の五名は社長に対し、いろいろ紛争を重ね面倒をかけたがこれで全部解決したので将来何かと援助を望む旨の挨拶をなして辞去し、その後原告らは昭和二十六年二月三日に至り、福岡地方裁判所小倉支部に提訴中であつた解雇無効確認並びに就労妨害排除請求事件の本案訴訟及び右解雇に関する仮処分異議申立事件につき、一方会社は同年四月二十三日に至り同裁判所に提訴中であつた妨害予防請求事件につき、いずれも同裁判所に「今般示談解決したので取下げ致します」と記載した各取下書を提出し、それぞれ相手方の同意を得てこれを取下げたのである。しこうして原告らはそれより二年半の間会社に対して退職につき異議を述べるとか、或いは復職の要求をしたこともなかつたところ、昭和二十八年六月に至つて突如本件訴訟を提起したものである。 〔中略〕 以上認定の事実によれば、原告らが当初会社の条件附解雇通知に対して不満であつたことは充分察し得られるけれども、結局原告らと被告会社との雇傭関係は前記協定に基く合意によつて終了していることは極めて明白であるから、解雇のあつたことを前提とし、その無効確認を求める原告の本訴請求は、爾余の判断を俟つまでもなく失当としてこれを棄却しなければならない。 |