全 情 報

ID番号 05343
事件名 解雇無効確認請求事件
いわゆる事件名 平安学園事件
争点
事案概要  解職辞令を交付して解雇を申し渡されたこと、また退職金を受取る際に内心に不満があったとしても、黙示的に解雇を承認したものであるとされた事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 解雇(民事) / 解雇の承認・失効
退職 / 合意解約
裁判年月日 1955年2月22日
裁判所名 京都地
裁判形式 判決
事件番号 昭和29年 (ワ) 1288 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集6巻1号124頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇の承認・失効〕
〔退職-合意解約〕
 原告が昭和十五年九月以来被告学園に雇はれ事務職員として勤務していたこと並に被告学園が昭和二十九年九月三十日原告を解雇し同日附解職辞令を交付したことは当事者間に争がない。原告は右は理由なき一方的解雇で無効であると主張するに対し被告は合意上の解雇で有効であると主張するので案ずるに証人Aの証言に成立に争のない乙第一乃至第五号証を綜合すると原告は昭和二十七年末迄は事務課長昭和二十九年三月末迄は管理主任の地位にあつたものであるが勤務成績不良の上に他の同僚職員との折合も悪るくこの侭被告学園に止め置くことは面白くないと云うので昭和二十八年十二月頃から校長、教頭、生徒課長、教務課長等被告学園主脳者間において原告に退職を勧告しようと云う議が持上り最初はA教頭より個人的に退職を勧告したけれども応ずる気配がないので昭和二十九年四月以降は管理主任の職を解き一定の職務を与へず更に同年七月末頃校長Bより原告に対し正式に退職勧告をしたが応じないので遂に同年九月三十日附を以て解職辞令を交付し解雇を申渡したこと、原告は不承不承ながら別段異議を止めないで右解職辞令を受取り更に京都府私学恩給財団に対し退職による一時金請求の手続方を被告学園経理主任に依頼した外同年十月六日被告学園より退職金として金十二万四千六百円を任意受領したことを認めることができる。然らば原告は右解職辞令や退職金を受取る際内心においては不満があつたにせよ被告学園に対しては黙示的に解雇を承認したものと認めるの外なく被告が従来退職勧告に応じなかつた事実、解雇辞令を受取つて間もなく本訴を提起した事実、その他証人C、D、E等の証言を以てするも右認定を左右するに足らない、原告は解雇事由に該当する事由がなかつたから解雇は無効であると主張するけれども合意解雇たる以上解雇事由の存否並に当否について判断するまでもなく本件解雇は有効であると云はなければならない。