ID番号 | : | 05348 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 駐留軍労務者事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 駐留軍労務者の保安解雇につき、保安基準該当事実が不存在であっても無効になるとはいえないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 保安解雇 |
裁判年月日 | : | 1955年4月23日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和29年 (ヨ) 4031 |
裁判結果 | : | 申請却下 |
出典 | : | 労働民例集6巻3号352頁/タイムズ48号57頁/訟務月報1巻4号104頁/労経速報176号15頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-保安解雇〕 右第一条(a)項(1)(2)(3)保安基準と称せられるものであるが、右協定によれば駐留軍が保安上の理由で解雇の意思決定をなすのは、基本契約第七条とその趣旨を異にするものではなく合衆国の保安に危険又は脅威となるとの認定にのみ基くものであつてこの認定は専ら駐留軍の主観的判断にとどまり客観的に保安基準に掲げる事実の存在を要求しているものと解することはできないばかりでなく、また事がらの性質上右主観的判断が客観的に妥当であるかどうかの評価を許さない趣旨のものと解すべきである。このことは第一条(c)項に合衆国は日本政府に対して保安基準に該当する事実を必しも常に通告しない旨定めていることによつても推知できる。 してみれば保安基準に該当する客観的事実の存在は解雇権行使の要件とする意思がないわけであるから、これがある場合に限り解雇権を発動すべきものということができず従つて保安基準設定に関する協定はその趣旨に解雇権を自ら制限したものと解することはできない。もつともこれがために右附属協定が労務者の保護に関して無意味であるというのではない。右協定により解雇の手続について慎重を期していることは前記の通りであるから、駐留軍において自己の意思決定をなすについて反省の機会を持ち過誤のないよう要請されているわけである。従つて保安基準に該当する事実の不存在によつて、本件解雇が右協定に違反する無効のものということはできない。 |