ID番号 | : | 05353 |
事件名 | : | 仮処分控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 両備バス事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 営業譲渡に際し労働契約が承継されたとした事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約の承継 / 営業譲渡 |
裁判年月日 | : | 1955年6月20日 |
裁判所名 | : | 広島高岡山支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和30年 (ネ) 33 |
裁判結果 | : | 控訴一部棄却,一部取消・確認 |
出典 | : | 労働民例集6巻3号359頁 |
審級関係 | : | 一審/岡山地/ . ./昭和29年(ヨ)209号 |
評釈論文 | : | 労働法律旬報210号9頁・16頁 |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約の承継-営業譲渡〕 控訴人等はAが昭和二十九年九月九日被控訴会社に対し控訴人等の氏名を記載した名簿を提出したから、控訴人等は右第二項本文の「Bバス(被控訴会社)はAより提出される旧Cバス従業員名簿によりその全員を雇用する」との条項により同日被控訴会社の従業員たる身分を取得した、と主張するのでこの点について判断する。 本件争議の核心は、控訴人等が私鉄Dを脱退するか否かにあつたがこの点についてはにわかに妥結の見込がなかつたのと他面控訴人等を一日も早く就労させて生計の方途をたてさせねばならぬ目前の必要から本件和解協定の成立をみるにいたつたことは前記争議の経過に照らし明らかなところである。したがつて右協定は前記争議の核心には全然触れることなく目前の争議の終了、換言すれば就労第一を当面の課題として解決したにすぎない。このことは乙第十三号証甲第五十号証に明らかなように被控訴会社のユニオンシヨツプ協定は本採用者に限り適用あるところ、右協定書によれば控訴人等が被控訴会社に採用後の身分は本採用でないのであるから(第三項参照)、控訴人等を採用したからといつて右ユニオンシヨツプ違反とはならず、しかも本採用になるまでの期間は大体二ケ月と予定されていた当事者間に争ない事実によつて明らかである。したがつて冷却期間ともいうべき右二ケ月の間に労使双方更に協議して右核心問題を解決すべきことを関係者一同がこれを期待していたことは本件争議の経過と乙第十六号証原審証人Eの証言によりこれを推測するに難くない。そして右第二項の「名簿提出」はCバス従業員のうち不正行為のあつた者を除外する趣旨であることは乙第二十八号証により、また同項但書の「個々面接」は被控訴会社の自主性の維持換言すればAの提出した名簿に登載された者を会社が従来の例を破り試験等をせず無条件で採用することは如何にも会社の面目にかかわることなので、会社が採否を決定する鍵を握つていることを示すための形式的なものにすぎないことは原審証人Fの証言により一応疎明される。しかも〔中略〕前記名簿による採用者には同年九月一日に遡つて給与が支給されることになつていたことが明らかであるから、これら諸般の事情からすれば控訴人等は右名簿の提出により当然仮採用者として被控訴会社の従業員たる身分を取得したものと解するのを相当とする。 |