ID番号 | : | 05385 |
事件名 | : | 地位確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 三菱造船事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 期間の定めのある労働契約であっても、それが反覆更新され、雇傭の継続が期待されるような状況があるときは、契約更新拒否は実質上解雇と同視すべきであり、信義則違反や不当労働行為にあたるときは無効となるが、本件では契約更新拒否は有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法529条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め) |
裁判年月日 | : | 1964年6月12日 |
裁判所名 | : | 長崎地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和35年 (ワ) 79 |
裁判結果 | : | 一部却下,一部棄却 |
出典 | : | 労働民例集15巻3号638頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 山口浩一郎・ジュリスト345号117頁/竹下英男・季刊労働法54号84頁 |
判決理由 | : | 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕 また、原告Xと被告会社との雇傭契約が更新を重ねたことにより、原告Xと被告会社との間に当然雇傭契約を更新する旨の暗黙の合意が成立したものとも断定することができない。その他本件全証拠によつても、原告Xと被告会社間に成立した雇傭期間を三ケ月とする本件労働契約とは別個に期間の定めのない労働契約が成立し、ないしは原告Xと被告会社間に当然雇傭契約を更新する旨の暗黙の合意が成立したことを肯認できる証拠資料はない。 しかしながら、期間の定めのある労働契約は当事者が契約の更新をしないかぎり期間の満了によつて当然に終了するものであり、期間満了による労働契約の終了と解雇とは別個の法概念であつて、使用者の意思の介入する余地がなく従つて不当労働行為も成立する余地がないわけであるが、期間の定めのある労働契約においても、雇傭期間が反覆更新され期間満了後も使用者が雇傭を継続すべきものと期待することに作業内容並びに過去の実績からみて合理性が認められる場合には、使用者が更新を拒絶することは実質上解雇と同視すべきであり、このような場合には解雇に関する諸法則を類推適用するのが相当である。従つてこのような場合には使用者の更新拒絶が信義則上許されないものと評価されるときはその更新拒絶は無効であり、また、組合活動の故を以てなされた不当労働行為と評価されたときはその更新拒絶は無効と取扱うべきが相当である。 |