ID番号 | : | 05395 |
事件名 | : | 仮処分異議申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 京阪神急行電鉄事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 連合国最高司令官の命令指示に基づく解雇につき、なお労働協約中の解雇同意約款の適用があるが、労働組合が同意を与えたものとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法3条 労働基準法2章 労働組合法16条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇手続 / 同意・協議条項 |
裁判年月日 | : | 1964年9月26日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和28年 (モ) 588 |
裁判結果 | : | 取消・申請却下 |
出典 | : | 労働民例集15巻5号950頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇手続-同意・協議条項〕 3、ところで、前記のとおり第五回協議会において、組合は、会社に対し、「今回の会社の措置に対しては白紙でゆく。」、「組合としては争わない。」との最終的回答をしたのであるが、右回答の文言上は同意とも不同意とも明示されていないけれども、「組合としては争わない。」との表現は、少くとも不同意でなかつたことを示しており、右回答の文理解釈上からも、むしろ暗に同意を表明していると読みとる方が自然であるばかりでなく、さらに、 〔中略〕 組合としては、右回答が同意の意味にとられるであろうことを意識しながら回答したこと、当時組合の中央委員のうちにも、組合の副執行委員長で右協議会の委員であつた申請外Aをはじめ相当多数の該当者がおり、その者たちへの情誼からも明示の同意をしかねる情況にあつたこと、しかも、組合としては、本件解雇について会社が労働協約上の正当な手続を踏んだものと判断し、かねて組合内に設置してあつた法廷闘争委員会を解散し、その後今日まで何等異議を申し立てなかつたことが一応認められ、右事実に前記協議会の経過および方法を総合して考えると、組合は、右最終的回答によつて、それまで留保していた異議権を放棄し、本件解雇に対する同意の意思表示をしたものであると認められる。成立に争のない甲第一六号証の三のうち右認定に反する部分は信用できないし、他に右一応の認定を覆すに足りる疎明はない。 4、なお、第五回協議会の出席者が会社側四名、組合側三名であつたことは、前示認定のとおりであるけれども、前記労働協約第九条の規定は、単に協議会の組織を定めたものであつて、必ずしも、その議決の要件を定めたものであるとは解せられないばかりか、前示一応の認定のとおり右協議会において組合は、機関の決定に基く回答をしたにすぎないのであるから、右回答が労働協約に違反し、無効であるということはできない。 5、このように、本件解雇は、労働協約第二五条における「組合の同意」を得て行われたものであるから、申請人等の主張は理由がない。 |