全 情 報

ID番号 05398
事件名 地位保全仮処分申請事件
いわゆる事件名 駐留軍労務者事件
争点
事案概要  駐留軍労務者に対する保安解雇が有効とされた事例。
参照法条 労働基準法3条
労働基準法2章
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 保安解雇
裁判年月日 1964年10月20日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和38年 (ヨ) 2126 
裁判結果 申請却下
出典 時報391号42頁/タイムズ169号205頁/訟務月報10巻11号1533頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-保安解雇〕
 保安解雇は、アメリカ合衆国政府の要請により在日軍の労務に服するため被申請人から提供した間接雇傭の労務者が基本労務契約細目書I、F節、1(基本労務契約第九章、1)に定めるいずれかの保安基準に該当し、アメリカ合衆国政府の保安上危険であるとみなされるとき、これを軍の施設及び区域から排除するためになされるものであつて、そのためには、その者の思想、信条のいかんを問わず、その者がいかなる結社の構成員であるかに本来かかわりないものと解されること、また、本件解雇が、既に述べたように、保安解雇の手続を履践して行われたことなどを考慮するとき、申請人が更に特段の事情を疎明しない限り、本件解雇が申請人の共産主義及び現代中国事情に対する関心、研究並びに日中友好協会への加入を理由とするものと認定することは困難である。この点に関する〔中略〕証人A及び同Bの証言並びに申請本人尋問の結果は、同人らの憶測、見解、又はそれらの聞伝えに過ぎないから、採用の限りでない。他に、本件解雇が申請人主張の理由によるものであつて、思想、信条による差別待遇をしたものであり、結社の自由を侵したものであることを認めるに足りる疎明はない。してみると、本件解雇が思想、信条の自由を保障する憲法第一九条、結社の自由を保障する憲法第二一条及び労働条件について差別的取扱を禁止する労働基準法第三条に違反し、無効であるとする申請人の主張は理由がない。