ID番号 | : | 05401 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 国際タクシー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | タクシー会社の運転手に対する会社の指示命令違反等を理由とする懲戒解雇、あるいは本採用拒否がいずれも不当労働行為にあたり無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法21条 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 試用期間 / 法的性質 解雇(民事) / 解雇事由 / 業務命令違反 |
裁判年月日 | : | 1964年10月31日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和33年 (ヨ) 5303 |
裁判結果 | : | 申請認容 |
出典 | : | 労働民例集15巻5号1195頁/タイムズ169号207頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-試用期間-法的性質〕 まず会社とAとの間の雇用関係の性質について考えてみるに、就業規則第六条に「新たに雇用する従業員は雇入後二ヶ月を試みの期間とする」との定めがあることは当事者間に争いがなく、Aの当初二ヶ月の雇用関係が試用契約によるものであることは証人Bの証言により明らかである。もつとも右規則の文言および試用制度の本旨からすれば、本来会社は新採用者につき従業員としての適格性を疑わせる事情ないし本人の許諾がない以上、所定の試用期間を一方的に延長更新することはできないものと解するのが相当であるが、右Bの証言によれば、会社においては長年にわたつて単に会社の都合により新採用者の試用期間を随時延長していたが、新採用者もある程度やむを得ない措置として右会社の熊度を甘受してきた事実が認められ、A自身も本件解雇に至るまで会社の同人に対する試用期間延長の措置を右慣行によるものとして受け入れていたことは、Bの証言、A本人尋問の結果(第一回)によつてこれを窺うに十分であるから、Aは本件解雇当時なお試採用者の地位にあつたものと認めるのが相当である。 〔解雇-解雇事由-業務命令違反〕 そこで本件解雇の効力について考えてみるに、前記二において認定したようにC自動車および会社(証人Dの証言によれば会社の株はすべてC自動車がこれを所有し、役員はC自動車の役員が兼任し、就業規則も全く同一であつて、会社とC自動車とは実質的に全く同一であることが認められる。)が第二組合の結成にあたり各種の援助を与えるとともに第一組合の切崩しを行つたこと、第三組合に対し財政的援助を与えたこと、統一運動の進行中に労働講座を開催してこれを牽制する等の支配介入を行つたこと等、前記E、Aが組合統一運動その他の組合活動を活発に行つたこと、あるいはA本人尋問(第一回)の結果により認められる右統一運動の中心人物であつたFが申請人らが解雇される少し前に些細な理由で解雇されている事実あるいは本社タクシー課長である前記BがAを本社に呼び組合統一は間違いであるから断念すべき旨説得した事実等に解雇理由が極めて薄弱であること等を考慮すれば、本件解雇は会社が申請人らの組合活動を嫌悪し、これを企業から排除しようとしてなされたものと認めるのが相当である。したがつてその解雇の意思表示は労働組合法第七条第一号の不当労働行為として無効というべきである。 |