ID番号 | : | 05403 |
事件名 | : | 裁決取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 労働保険審査会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労働災害補償に関連し、労働基準法一二条八項にいう平均賃金を算定できない場合に該当するとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法18条2項 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 平均賃金 |
裁判年月日 | : | 1964年11月28日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和37年 (行) 45 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集15巻6号1246頁/時報396号46頁/タイムズ170号254頁/訟務月報10巻12号1689頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-平均賃金〕 ところで、労働基準法一二条の平均賃金に関する規定の趣旨とするところは、現実の賃金収入には時期により多少の差異があることを前提とした上で、算定基準時のいかんによる偶然の不均衡を避け、できるだけ賃金収入の実態に即した状況において労働者の生活を保障しようとするにあり、労災保険法一二条一項二号以下において右平均賃金をもつて保険給付の算定基準としたのも、同趣旨に出たものと解される。労働基準法一二条は一項から六項までに常用労働者の平均賃金算定方法を定め、八項において「第一項乃至第六項によつて算定し得ない場合」は労働大臣の定めるところによるものと規定しているが、同項にいう「算定できない場合」とは、雇入れ当日に災害が発生した場合等技術的に平均賃金の算定が不能である場合のほか、事業や賃金形態の特殊性から、一ないし六項の算定方法によるときは平均賃金の額に偶然による著しい高低の浮動を生じ、平均賃金の本来の趣旨に背反するような結果を生ずる場合をも包含するものと解するのが相当である。 以上によれば、本件Aの場合は労働基準法一二条八項にいう算定不能の場合として、その平均賃金は労働大臣の定めるところによるものと解せられるところ、昭和二四年四月一一日労働省告示五号により右算定不能の場合の平均賃金は労働省労働基準局長の定めるところによるものとされ、同局長の昭和三一年六月七日都道府県労働基準局長宛通達(基発三六九号「請負給制によつて雇傭される漁業および林業労働者の平均賃金について」)によれば、当該事業場における過半数労働者を代表するものと、使用者との間に自主的な平均賃金協定があり、それが当該地方の同種労働者の賃金を勘案して合理的なものである場合において、当該都道府県労働基準局長が右協定を承認したときは、その協定による額をもつて平均賃金とする旨を定めていることが認められるから、本件Aの場合についても、災害の当時右通達による協定額が存在するものとすれば、それが労働基準法の平均賃金の趣旨に反した不合理なものでない限り同人の平均賃金となるものというべきである。 |