ID番号 | : | 05404 |
事件名 | : | 行政処分取消請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 神戸労基署長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 神経症的視力障害につき、業務に起因するとし、業務外とした労基署長の処分を取消した原判決が維持された事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法15条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性 |
裁判年月日 | : | 1964年11月30日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和38年 (ネ) 1125 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 訟務月報11巻2号295頁 |
審級関係 | : | 一審/05007/神戸地/昭38. 7. 5/昭和36年(行)1号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕 本件事故による外部的衝撃が、被控訴人の神経症的素質の従来の抑制的均衡を破る契機となつて、前記閃輝性暗点の如き神経的症状を生ぜしめたと同時に、神経病的な性格を持つ視力障害を起し、前認定の視力低下を来したものと推測するを相当とし、右推定を覆すべき資料がない。尤も前記(1)の網膜炎は視力障害に影響を持つ後遺症たり得ることは証人Aの証言によつて窺い得るけれども、右の網膜炎は陳旧性で本件事故以前より存したと認められるものであるから、事故以後の視力低下の決定的原因として右の反対資料と為すには足りず、乙第五号証の記載及び証人Bの証言中右認定に反する部分は採用できない。そして右の結果は、被控訴人の素質に一半の原因が在つたとしても、その素質が自発的に発病の結果をもたらす程度、性質のものであることが明らかとされない限り、右発病に対して本件事故は決定的原因を与えたものと考えざるを得ないから、右事故と本件視力低下との間には、相当因果関係を肯定すべきである。 以上の理由により、被控訴人は本件事故のために労災保険法の定める身体障害等級第一三級所定の障害を後遺症として蒙つたものと認められるところ、控訴人が被控訴人の障害補償給付の請求に対して不支給の決定をしたことは当事者間に争がないから、右決定は違法として取消を免れない。 |